今年度は,行事とのかかわりをみながら「総合的な学習の時間」について研究及び研修を進めてきた。年度末にあたり,研究を振り返ってみたい。
一 平成12年度の研究をふり返る
指導要領では「生きる力」をはぐくむために「総合的な学習」が導入される。それは子どもが興味・関心に基づき,学習を通して自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断してよりよく問題を解決する力を育てるためである。そこで,体験を重視した「総合的な学習の時間」を考え,この時間が,他の学習と様々な形で関わりをもちながら,豊かに展開していくことで,児童一人ひとりにより大きな「生きる力」が備わっていくと考える。その「総合的な学習」を教育活動の中でどのように位置づけ,活用していくかということを明らかにしていきたいと考え,次の主題及び副主題を設定し,研修・研究を進めてきた。
『互いの考えを認め合い,自分のよさを生かしながら共に生きる力を高め合う子どもの育成』
〜学習の総合化(「総合的な学習の時間」を中心に)のあり方を探りながら〜
この主題のもとで,「総合的な学習」の具体的な展開や指導法について実証的に研究を進め,学習形態の多様化,学習時間の弾力的運用,学習空間の多様化についても考察してきた。
一方で,教育プランの作成にも目を向け,今年度は全体教育計画,特別活動と道徳の教育課程の編成をめざした。
研究は次のような組織で進めた。
まず,校長,副校長,教務主任,各学年1名,級外1名をもって構成される推進委員会。ここで研究の基本的な企画,運営,方針の立案を行ない,各部会,全体研究会の連絡・調整を図った。
全体研究会で研究主題,内容,方法などについての共通理解をはかり,研究全般の推進に関わる問題点,部会などでの問題点,「総合的な学習の時間」の内容,配列,環境整備について検討・協議・調整をしてきた。また各ブロックおよび3委員会の研究内容について共通理解を図る。
ここで言うブロックとは低・中・高の3ブロックであり,3委員会は道徳教育計画編成・特活教育計画編成・全体構想作成であった。
研究の具体的な内容は,学習の総合化についての基本的な考えや活動例について共通理解,「総合的な学習の時間」の活動例を作成,総合的な学習の視点から行事を見直し,活動例をもとにして年間の「基礎表」の作成である。
1学期は「学習の総合化」「総合的な学習の時間」についての理解を深め,共通理解を図るようにしてきた。そのために様々な資料を提供してきた。2学期はそれに加えて活動例を考えたり「総合的な学習」例を,公開活動を通して検証したりと研究を深めてきた。この活動例として,従来は行事として扱ってきた全校遠足,笹の葉集会,運動会を見直して「総合的な学習の時間」からの視点で考えてみた。
12月の公開活動で,異学年との合同による授業(5年),学習環境や場と空間の工夫(1年),学習形態の工夫(4年)と実践を通しての検証が得られた。
この一連の過程を日程を通して確認してみたい。
平成12年度 重点研究過程
4月 推進委員会 方針検討・調整
4 25 火 全体研究会 研究の方針・内容・日程の提案
5月 ブロック研・学年研 ブロックの視点・活動例作成
5月末 縦割り遠足
6 6 火 推進委員会:縦割り遠足を検証する。
6 19 月 研修:講演 「総合的な学習」について。講師:松嵜 敏次 先生
6 27 火 全体会:3委員会,3ブロックの情報交換
7月 笹の葉集会・運動会に向けて活動開始
9 5 火 推進委員会:運動会について検討(体育部,特活部と合同)
9月 ブロック研・学年研 30時間の活動例を考える。
9 23 日 運動会
10 3 火 推進委員会:運動会について検証
10 24 火 ブロック研・学年研:公開活動例の検討
11月 学習発表会
11 7 火 講演会 山崎信也先生
11 14 火 授業案の検討会
11 21 火 公開活動の検討
11 28 火 活動公開(低学年ブロック)
講師 竹内法子先生
(前東戸塚小校長 現教育センター研修研究課嘱託員)
12 4 月 活動公開(中・高学年ブロック)
講師 岩田公夫先生(芹が谷南小校長)
12月 清掃活動
1 23 火 推進委員会:研究の調整とまとめ方の検討
2 13 水 全体会 まとめ・次年度の方向性
※ 年度末までに,特別活動,道徳,全体計画の作成を終え,正印刷する。
※ 「総合的な学習の時間」の活動例について,学年部分に加除訂正及び,教科及び総合との時間配分を記入する作業をお願いしたい。
行事と総合的な学習の時間について検証してきた結果,今年度実施の「縦割り遠足」「笹の葉集会」「運動会」「学習発表会」は,総合的な学習の時間として実施した。
特活,道徳の教育課程は,指針が出るのをまつ。教育課程作成は次年度も引き続き行うが内容表については作成。
総合的な学習の時間の活動例は,上記の通り,今年度実施については加除訂正し総合的な学習の時間として使った時数と教科としてとった時数を明記の上,作成する。
>参考<
※ 今年度提示した資料
・小学校各教科にとって「横断的・総合的な学習」の持つ意味は何か
・カリキュラムの型 ・総合的な学習の課題
・ポートフォリオ評価法〜どうすればいいの?「総合的な学習」の評価
・総合的な学習の時間へのアプローチ 国立教育研究所主任研究官 奈須 正裕 氏
・対談「総合的な学習の時間」の可能性と問題点
・新学習指導要領 文部省に聞く
・大岡小学校校内討論会記録 〜2000年6月1日研究授業事後研究会記録
・創造的科学技術開発を担う人材を育成する教育の展開に向けて
・新学習指導要領「総合的学習」の課題 ・道徳の授業の充実
・総合的な学習の時間 できることから始めよう 阪本 央
・生活科の方法論 フレームワークと3段階の見取り
・総合的な学習の時間の課題 川村学園女子大学の古藤教授
・総合的な学習の時間と基礎学力の問題について考える
・道徳で育成したい考える力 ・総合的学習の授業づくり計画
・小学校各教科にとって「横断的・総合的な学習」の持つ意味は何か
・文部省 学習指導要領案の特別活動に関するお願い
・総合学習の分類 ・田中氏の総合的な学習の時間講演記録
・対談 総合的な学習をどうつくるか ・特別活動で育成したい考える力
・教育課程審議会答申H1007 ・各種の代替評価法
※ 6月19日(月)講演「総合的な学習について」 講師:教育相談員 松嵜 敏次 先生
@ 教科内の総合科(ア),教科間の総合化(イ),総合的な学習の時間(ウ)となる。
A 総合的な学習では,現実を教材にし,そこから学んでいこうということである。いろんな教科の成果,力を使う。みんなが同じねらいを,というのは不可能でこれまでの指導観,学力観といった,「観」の転換が必要。
Bテーマの視点として,3つあげられます。
1 今日的な教育課題。情報,国際理解,環境,福祉。
2 子供の興味関心に基づくもの。遠足,体験学習,教科からの興味関心
3 地域のもっている地域の特性(自然など)
C社会と関わる以上は,文字からだけではなく人と関わることが大事。活動で何がねらいかをはっきりさせておく。教師が育てたいという視点を,子供も気付くようにさせたい
D総合的な学習には7つの段階がある。
1 総合の時間とは何かを子供が理解する段階
2 テーマについて。どこから入るか
3 テーマから,自分で問題を見つけること。
4 課題(活動計画)を立てる
5 実践・体験をもつこと〜これは一人ひとりの活動。その活動からこの子が育つか,できるか,よさが発揮できるかと見極めること。一人ひとりの育ちの速さに違いがあるのだから,活動に違いがあって当然。教師ははげまし,活動の意味づけ,価値づけが必要。
6 自己実現のステージを設ける〜自分が育ったことを中心に話をする。
7 ふりかえりの場を設ける。評価といおうか。教科の「学びなおし」に向かうということもある。
※ 11月 7日(火) 講演「総合的な学習の時間」 講師:山崎 信也 指導主事
◎具体的にどうとらえ,取りいれていくか ◎単元化を図る ◎評価
本校は行事から取り組んでいく
学年毎に教科との関連をおさえて,活動が進められるようにしていく必要がある。
実践事例の分析:教科 9校…課題が先にある :教科等間 8校(教科目標に関連)同 9校(教科目標そのものが目標) 教科内 0校
具体的に,大正小学校の特色(自然が多いと思う,横浜の南の外れで東海道(国道1号線),歴史的なものを子供たちも感じている)から提示。
※ 生活科公開授業を通して
@子供の育ちをみ取りたい。子供が多様にそれぞれ育った。体験活動をふんだんにやる中で諸教科からせまった。親も(安全面の補佐のみでなく)参加した。子供も十分に交流できた。他学年の児童も参加することができた。
A自分の生活があるのが「生活科」
B生活科は総合的な性格をもつ。体験的である,子の思いがある,課題別であり問題解決的,地域にあったもの,人との関わりがある,学び方を学ぶ,知的な気付き(感性),総合科の基礎,自立の基礎(私を大切に)
C総合科は内容は自分で考える,目標は自分の生き方を考える。
D生活科と総合科に共通は〜体験的である,子の思いがある,課題別であり問題解決的,地域にあったもの,人との関りがある,学び方を学ぶ,知的な気付き(感性),総合科の基礎,自立の基礎(私を大切に)
※ 中学年及び高学年の公開授業
@中学年はそろそろ学校を背負っていくという意識づけのために学級内の総合でやってみた。
A高学年は環境教育を軸にポスターセッションを他学年も参加する形式で実施。
Bいろいろな活動が増えれば,受け入れる方も大変というが,まず地域から入ると,行きやすい。同じ所に行っても1年生と6年生では視点が違う。行く事で経験の蓄積(の効果)で新しいことを見つける事ができる。
C経験を豊富にすること。調べ学習も大事であるが自分の五感を働かせないと本物の調べ学習にはならない。
二 研究の反省
アンケートの結果(要約)は以下の通り
1 テーマについてはよかった。
2 今年度の組織について。
推進委員会が有効に機能するように推進委員一人ひとりの役割を決め,年間の流れの中で仕事分担するとよい。推進委員会に道徳,特活の代表も入っていた方がよかった
3 研究日程について
割にゆったりしていたように思います。とてもよかった。道徳,特活の作業がほとんどなかった。講師の都合で変更があったが,2回の公開授業が続いたが間があった方がよい。
※ 授業等の日程については講師の都合によるが,計画立案時に留意する。
4 研究内容について
「総合的な学習の時間」のとりかかりとしてよかった。みんなで一生懸命に取り組めたと思います。運動会については今後,種目についても児童の考えをもっと取り入れたい。清掃活動についてはもう少しふくらませ,地域との一体化をねらう。学習発表会は毎年行う。
高学年は,学年の方の活動も多く,時間の問題が大きかった。3学期は話し合いのみ(総)で,あとの活動はすべて教科扱い。子どもたちは結構,自主的に動けるようになった。
運動会は総合的な学習にするために体育部で大変な苦労をされたと思う。5,6年生は今後,問題解決学習,体験学習としての運動会を意識するだろうし,深まりや広がりもきたいできると思った。教師のかかわる時間的な面での問題は今後検証していく必要がある。それ以上に3,4年生のかかわり方は研究が必要。「清掃活動」は児童からの課題意識はあまり見られなかったのではないか。「何かボランティアをしよう」のような週間をつくり,中身を自由に考えさせてはどうか。縦割りにもこだわらなくてもよいと思った。
今後も今年度の発展として総合的な学習の時間としてすすめたほうがよい。
たてわり活動は昨年より活性化してよかったと思うが,活動を精選する必要があると思う。「たてわり=総合的な学習」にならないものもあるのでは…。
三 次年度の方向
(アンケート続き)
5 来年度の研究をどうするか
今年度の研究を深める(2年サイクルの行事を「総合的な学習の時間」の内容として適当か否かの実践と検証,例えば,大正まつり,作品展)。
指導計画(の見直しと作成)と各教科間の関連図作成。教育課程の作成。
評価の問題
今年度の研究を継続しながらも,教育課程の作成を中心に据えて考えていく。「総合的な学習の時間」の活動例を充実させる。
上記のアンケートをもとに推進委員会(第7回)で話し合った結果,以下の方向で落ち着いたので,提案したい。
◎ テーマは今年度のテーマを継続するがサブテーマを改訂する
→「教育課程の作成を中心にして」に改訂
◎ 「総合的な学習の時間」の研究を継続させる。2年サイクルの後半がまだ検証されていない。
時数については教務で。行事が「総合的な学習の時間」として成立するかどうかを検証する。
今年度分も含めて学年・学級にかかる単元開発と教科との時数振り分けも明記
◎ 評価……研修 評価委員会を中心に全員で研修する(新しい評価観)
◎ 指導計画 新の内容について:基礎・基本のあらいだしと,3本の柱にあてはめて。基礎・基本がおさえてあることが大事で,従来のような分厚いものを作る必要はないだろう。
13年度は (特活 道徳) 図工,音楽,体育,家庭,国語(一部)
14年度は 社会,算数,理科,生活,国語(残り)
◎ テーマは今年度のテーマを継続するがサブテーマを改訂する
→「教育課程の作成を中心にして」に改訂
◎ 「総合的な学習の時間」の研究を継続させる。2年サイクルの後半がまだ検証されていない。
時数については教務で。行事が「総合的な学習の時間」として成立するかどうかを検証する。
今年度分も含めて学年・学級にかかる単元開発と教科との時数振り分けも明記
◎ 評価……研修 評価委員会を中心に全員で研修する(新しい評価観)
◎ 指導計画 新の内容について:基礎・基本のあらいだしと,3本の柱にあてはめて。基礎・基本がおさえてあることが大事で,従来のような分厚いものを作る必要はないだろう。
13年度は (特活 道徳) 図工,音楽,体育,家庭,国語(一部)
14年度は 社会,算数,理科,生活,国語(残り)
清掃活動は視点をすえて再検討では?
教師主導になりがちであったので、児童の振り返りを集約する。
基礎・基本のあらいだし→成長課題を含め,ここでは何をねらうのかを入れたものにする。
要望として人員の配置に配慮する。ただし,校務での人員配当と重点研究のための配当は自ずと異なるものである。
残された活動〜大正まつり,作品展〜について検証する。その後,今年度のものと合わせて総合的な学習としてどうか検証する。
全体計画,成長課題とカリを相互参照しながら整合性をとってカリを作成する。
従来の行事の見直し,問い直しを。五日制にに向けての行事の精選とは質が異なるのでは。
教育活動には「明」(カリ,行事のあり方,校時表など見えるかたち)「暗」(学力,生きる力,教師の援助,支援力)「黙」(校風,伝統)の3つがあると考えられる。明確に説明していく方向で。
残された事
道徳,特活の計画表作成を進める。
総合的な学習の時間 活動例年間計画例 今年度分について作成完了させる。
※ 今年度の資料はまとめて保管。