図書館と学校の連携

200034日(金曜日)

 

子供たちに絵本を読み聞かせる「おはなし会」や、本を紹介する「ブックトーク」など、公共図書館のサービスを利用する小中学校が増えている。新年度から学校によっては先行実施される「総合的な学習」などで、調べ学習の機会が増える中、公共図書館の利用を促したり、地域の教育力の活用という観点から利用するケースが多いようだ。子供の本離れが指摘されているが、公共図書館と学校との連携事業は、子供たちに本の面白さを再発見させる機会にもなっている。

 

相互の貸借事業

千葉県市川市の市立「こどもとしょかん」は九六年から「おはなしバスケット」と名付けた学校への出張サービスを始めた。図書館員が学校に出向き「おはなし会」や「ブックトーク」などを行うもので、利用する小中学校は年々増加。初年度は十一回だった出張回数が、今年度は二月末時点で二十五回、計約三千人の子供たちが、プロによる本の楽しさを味わった。

四十年ほど前から読書教育に力を入れている同市は九四年から、市内の学校図書館と公共図書館の蔵書をパソコン通信で検索できるネットワークを構築。調べ学習や読書活動に必要な本を相互貸借する事業を本格スタートさせた。「おはなしバスケット」も、こうした公立図書館と学校との連携事業の一つだ。

今月上旬、同市立鬼高小学校の四年生を対象に開かれた「おはなしバスケット」には九十人余りの児童が集合。児童書担当の図書館員は、地域の民話や絵本などを語って聞かせた。同校の野沢順治校長は「インターネットを使って簡単に物事が調べられる時代だからこそ、おはなし会などで、本に興味を持たせ、自分で本を探し、学習に利用する習慣を付けさせることが大切」と強調する。

日本図書館協会(東京都中央区)が九二年に全国の公共図書館を対象に行った調査では、六五%の図書館が学校と何らかの連携事業を実施しており、「将来、実施したい」というものも含めると九〇%を超えた。同協会は、「以前は、学校教育に公共図書館など外部がかかわることは難しかったが、地域の教育力や地域に開かれた学校づくりが求められるようになり変わってきた。最近の調査でも連携の動きは、さらに広がっている」と指摘する。

 

調べ学習、利用促す

東京都府中市の市立図書館も九八年度から本の学級貸し出しを開始した。今年度は二月末までに、三学級だけだった初年度を大きく上回る二十九学級が貸し出しを利用、「おはなし会」の要請も増えている。昨年十月、同図書館に「おはなし会」を依頼した同市立日新小学校の比留間洋子校長は、「図書館を身近に感じさせ、調べ学習での利用を促して『学ぶ力』や『考える力』を身につけさせるのがねらい」と話す。

ただ、連携事業の普及には課題もある。日本図書館協会によると、全国の市町村の公共図書館設置率は四八%に過ぎず、学校側が連.携を望んでも図書館の利用が困難な地域は多い。児童書担当の図書館員不足で、学校からの様々な要望に応じきれない図書館も少なくないという。

 

読書教育任せきりも

一方、学校図書館に目を向けても専門職員の不在や蔵書の少なさなどを指摘する声がある。公立図書館のニーズの高まりは、学校図書館の内容の貧弱さの裏返しという見方もできる。ある公共図書館員は「公共図書館に読書教育を任せきりにしてしまう学校も中にはある」と指摘する。全日本小学校図書館研究会会長の植松雅美・東京都品川区立月越小学校長は「学校も学校図書館の蔵書を増やしたり、専門職員を置くほか、教師の意識を高めるなど、読書教育の充実に向けた取り組みが欠かせない」と話している。