いじめ

 

第三者と話し合う

 

「いじめられていた当時の私に、学校の先生や親以外の相談できるだれかがいたらよかった。親が介入してくると、どうしても保護されることに甘えてしまいそうだからだ。第三者と話し合うことで私の中にある感情を吐き出して自分の気持ちに整理をつけ、どうすれば一番良いかをだれかと見つけていきたかった。私と一緒になって悩んだり、そばにいてくれる人が当時の私にいれば、いじめに対して何もしなかったということはなかったと思う」

いじめられた体験を持つ女子学生がこう振り返る。親でも先生でもない第三者。かつて子どもの周囲にはそんな大人が存在した。それは近所のおじさん・おばさんであり、親せきのおじ・おばであり,年上のいとこであった。

戦後の家族に生じた大きな変化が二つあるといわれる。一つはお客さんが来なくなった。電話や宅配使の晋及などにより、他人が家庭にやって来ることも、子どもが「お使い」として他家を訪問することもなくなった。子どもが親以外の大人と出会う機会が激減したのである。もう一つは親せき付き合いが減ったことである。親にどこか似ているが、どこか違う人。親よりも遠いが、どこかでつながっている人。そんな存在がかつては子どもの身近にいた。

昔の子どもは現代よりも多くの大人とかかわり、また成長モデルとしてさまざまなタイプの大人を観察することができたのである。河原に釣りに行くと近所のおじさんがいて仕掛けなどいろいろ教えてくれる。きまじめで近寄り難い父親に比べると、その弟である叔父さんはとても話しやすく、一緒にいると心が和んだりする。

埼玉県で今年度から始めた「さわやか相談員」制度は、かつて子どもの周りにいた大人たちを思い出させる。相談員とはいうがカウンセラーの資格も教師の資格も必要ない。「地域で育少年育成に熱心に取り組んでいる」人も対象となる。週五日、一日六時間、県の非常勤職員として中学校に勤務する。五年計画で県内のすべての中学校に配置するという。埼土県ではこれを「心のオアシスづくり」と呼ぶ。「おじさん・おはさん」の現代版といえるかもしれない。

 

(誤字・脱字 ご容赦を)