数を多様に見る指導例
算数科研究部副部長 長嶋 清
3年生の算数授業の補欠に行ったときの指導を例に、数の多様な見方、考え方について述べます。
暗算で2桁のたし算をする学習でした。そこで、ウオーミング・アップのつもりで「1+2+3+4+5+6+7+8+9+10は、いくつですか」と1桁の暗算の問題を出しました。A君か「55」と答えました。そうしたら、B君が「その計算は、(1+9)十(2+8)十(3+7)十(4+6)十10+5=55です」と「10」に着目した見方をいってくれました。
「他に、B君のような方法で答えの55を出す方法はないか」と尋ねてみました。しばらく考えていましたが、C君が「(1+10)十(2+9)十(3+8)十(4+7)十(5+6)=55です」と「11」に着目した見方をいってくれました。さらに、子供たちはずうっと数字を見ていましたが、D君が「(1+8)十(2+7)十(3+6)十(4+5)十9+10=55になります」と「9」に着目した見方をいってくれました。
1〜1Oまでの和を55と知っている子は多くいますが、その和の求め方を9や10や11の数に着目して考える子は多くいません。9や10や11という数を多様に見ているわけです。BからDの数の見方は「1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=(1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+10+9+8イ十6+5+4+3+2+1)÷2=(11×1O)÷2=(11×5)=55」という、図形の求積の考え万にもつながっていきます。紙面の都合で図に表すことが出来ませんが、図形の求積の倍積や等積の考え方と同じです。
さらにE君が、「1から9までの真ん中の数は5です。それが9こあるから、5×9=45、それに10をたして55になります」と考えてくれました。D君の9x5がヒントになったそうですが、「0+1+2+3+4+5+6十7+8+9十10」と見ると、中央の数は5でその和は5x11=55とも求められます。そこで、次に、r1+3+5十7+9+11+ユ3+15+17+19は、いくつですか」と尋ねました。そうしたらF君が「(1+9)十(3+17)十(5+15)十(7+13)十(叶!1)=100です」と発表しました。さらに、G君が「1から17までの数の真ん中は9,9×9=81、それに19をたして!00と考えてくれました。このGやさきほどのEの数の見方は、中央の数に着目しています。Gの数の見方は9と11の間の1Oに着目してもその和は(10×10=100)と簡単に求めることができます。Eの数の見方も5と6の問の5.5に着目すれば(5.5×10=55)と求めることもできます。EやGの考え方は、平均の考え方を用いています。おそらく本人は「平均の考え方」など知ってはいないでしょう。数を観察した結果、中央にある「5」や「9」に着目したのだと思います。これなども図や絵にかいて具体的説明すると易しく理解出来ると思います。
算数の学習で、子供たち一人一人がもっているこういう数学的な見方や考え方をどう引き出し、どう育てるかが私たち指導者の責務であります。
(横浜市立青葉台小学校長)1997/4/5