教育相談

 

息子は新中学一年生。小学校と違い、中学校には科目ごとに担当の先生がいるので戸惑っています。小学校の担任の先生は友達のように親身になってくれたので、中学に入ってから寂しく思っているようです。今後、どのように先生と接していけばよいでしようか。

(神奈川県鎌倉市・主婦、41歳)

 

四、五月ごろは中学一年生がよく古巣の小学校を訪ねるそうです。担任とふれ合いの多かった小学校と異なり、中学一年生たちにとって、中学生活はちょっと寂しさを感じるのかもしれません。学級担任といえども、中学では教科担任制のため他学級、他学年まで授業のために渡り歩いており、担任クラスで〃密着〃指導しているわけではありませんので、どうしてもクラスの生徒一人一人との接触度は低くなります。

でも、考え方によっては、思春期(自立・独立願望期)まっただ中の中学生にとって、より広い世界で、担任以外の様々な大人(教師)たちとふれ合い学ぶ絶好の機会です。お子さん目身が身を乗り出して授業や学習活動にのぞみ、学級・生徒会・クラプ活勤などに参加していけば、いろいろな友や教師とのふれ合いもでき、中学生活の楽しさや生きがいをたくさん味わえます。質問など先生との対話の材料を持って職員室に出かけていくのもいいと思います。ほかの先生とも話せますから。お母さんもPTA活動などに進んで参加し、担任と話す機会をふやしてください。担任の呼びかけにも進んでこたえましょう。

(山田中学生問題研究所 山田 暁生)

 

 

中学二年生の娘がポケットベルをねだります。友人はたいてい持っており、自分だけ持っていないと不便だといいます。でも親としては、なぜポケベルが必要か疑問に感じており、できれは持たせたくありません。どうしたらいいでしょう。

(東京都三鷹市・主婦、42歳)

 

中学生にとってポケベルは、連絡手段というよりは友人との交信ゲームの手段でしょう。

娘さんは今、充実した毎日を送っていますか。もしそうなら、ポケベルを持たせても持たせなくてもそれほど深刻な問題は生じないと思います。ポケベルも一過性のおもちゃで、やがて卒業していくでしょう。もっとも私目身は中学生にポケベルは要らないという考えですが。

一番の問題は、子供の生活が空疎で、子供に充実した何かを与えられない状態にある場合です。子供はポケベルで友達との交信ゲームにのめり込み、家族との会話は上の空、ベルが食事中でも深夜でも授業中でも鳴り響くことになりかねません。ベルは私生活への侵入者となって、子供の生活をかき乱すだけでなく、親までがそれに巻き込まれるでしょう。

子供の生活がトータルに見て文化的に豊かであれば、ポケベルに限らず、家庭用ゲーム機でも漫画でも与えて悪い結果にはならないものです。親として必要なのは、家庭の教育方針を持ち、ポケベルを与えるならば、子供には使い方のルールを教えることです。

(千葉大学教授  宮本 みち子) 1997/5/14/

 

 

小学校六年生の息子が、下敷きや消しゴムに「死ね」「死」とびっしり落書きしでいるのをみつけました。単なる落書きだと思って放っておいたのですが、やめさせたほうがいいでしょうか。(奈良県大和郡山市・上婦、36歳)

 

回答

子供たちの藩書きに「死ね」などと書いてある場合、それは殺意の表現と考えるべきです。しかし、この殺意には死の具体的なイメージが希薄です。だからよけいに安易に殺意が表面に出たり、イメージの対象を他人や自分に容易に切り替える危険性があります。落書きを単に強制的に「やめさせる」だけでは、親や教師の権威で一時的に封じ込めるに過ぎず、かえってイメージが凝縮して危険性を増します。子供たちは今、塾や受験の日々の中で閉そく感や被害者意識に覆われています。この意識が殺意を生んでいるのです。しかし多くの子供たちは、戦争や社会問題に苫しむ人々に対して時には自分も「加害者」側にいることを認識していません。また社会の矛盾を解決するためにほん走している人々がいることも意識していません。子供にはこうしたことを教え、自分の周りの狭い社会で、被害老意識だけにからめ取られないように意識変革を促してほしいのです。

またもう一つは、自然の中でほっとする時間をもって、追い詰められた気持ちを解放してほしいと思います。

(小学校教諭 平山 英生)1998/3/18/

 

 

高校二年生の娘が、大学を受験しないと言い出しました。メーキャツプアーティストになるというのですが、親から見ると化粧品好きが高じた非現実的な夢。米国で化粧の勉強をするつもりですが、学校の英語もろくに勉強していません。堅実に大学を出て就職してほしいと思うのですが、娘をどう説得すればいいのかわかりません。

(埼玉県大宮市・会社員、46歳)

 

回答

娘さんの職業観の甘さをご心配ですね。ですが、高校生がしっかりした職業観を身につけることは、今の社会では容易なことではありません。これは、なにも現在の高校生が甘やかされているからではなく、職種が増え社会が複雑化し、また学業と職業が大きく隔たっているためです。その中にあって、娘さんはむしろ職業意識を早く持ち始めたほうかもしれません。

とはいえ、まだまだ雲をつかむような話の段階なのでしょう。ならば、渡米しメーキャップアーティストになるために、どういう道をたどればよいのかを考えてみてはいかがでしょうか。具体的に動き出すと、職業への考え方も固まってくるものです。

もちろん、いったん、踏み出したからといってやり直しできないわけではありません。熟慮した結果、大学進学ということになっても、それは回り道ではなく、職業意識を高めた新たな選択となるのです。

生涯学習社会の時代といわれます。必ず大学に進学して就職しなくてはならないと固定的に考えるのではなく、長い目     で娘さんの進路を考えてみてはいかがでしょうか。

(近畿大学講師  竹村 洋介)1998/3/11/

 

 

高校二年生の息子が「小遺いが足りないのでアルバイトしたい」と言います。社会勉強になるので悪くないかと思う一方、大学生ならともかく、高校生のうちからアルバイトするというのは、ちょっと早すぎるような気もします。許可すべきかどうか迷っています。

(埼玉県川口市・団体職員、50歳)

 

回答

アルバイトの長所は、実社会を体験するよい機会だということです。苦労してお金を稼ぐことによって、子供に目信が生まれるかもしれません。米国では子供時代から家庭や近所の小さな仕事をしてお金を得ることが生活スタイルとして定着しています。独立独歩の気風からきていると思います。高校生のアルバイト収入は大学進学の費用として使われることが珍しくありません。

しかし日本では進学費用のためにアルバイトする例は少ないのではないでしょうか。そこにアルバイトの位置づけの甘さがみられます。だから、アルバイトすることが金銭欲を膨らますだけの結果に終わる可能性もあるのです。

高校二年生ですから「小遣いが足りないから」ではなく、親に頼らず、自力でまかなうべきことは自分でするという、自立に向かう重要なステッブなのだという位置づけがほしいと思います。そうすれば、金銭欲を満足させるよりも大切なものを得ることができるでしょう。親の価値観と指導力が試されます。ただ、どんなところでどんな仕事をするのか、アルバイトに伴う事件・事故も散見されるので、安全面や健康面を親がチェックする必要があるでしょう。

(千葉大学教授  宮本みち子)1998/3/4/

 

 

高校入試を来年に控えた中学二年の娘が内申書を気にしています。私も「先生の言うことをよく聞くのよ」「きちんとしてなければだめよ」と、学校生活全般や性格に口やかましくなります。おおらかに撰したいのに、娘の顔を見ると出てくるのはぐちばかり。内心でストレスをためているのではないかと心配です。(京都市・主婦、43歳)

 

回答

私が中学三年生を担任していたとき、内申書の成績が決まる二学期になって、これまでとは急に態度を変えて礼儀正しくなり、にこやかに教師に対応するようになった数人の生徒がいました。悲しい現実です。おそらく親からも「内申」を強調され、心ならずも仮面をかぶって息の詰まるような苦しい不本意な学校生活を送るようになったのでしょう。そのような生徒の内串書作りを課せられている私にとっても本当にいやな日々でした。

「きれる」「むかつく」と、気持ちを言葉や態度に出さないまでも、お母さんがそれを察せられる状態になっているということは、すでに危険信号をお子さんが発していると思うべきでしょう。もっと自然に生活させてください。内申成績を良くするために生きているなんて悲しいじゃありませんか。

教師から、親から、周り中から見張られて生きている、そういう思いから一刻も早くお子さんを解き放ってやってください。「何も気にせず、精いっばいやるべきことをやっていれば結果は自然とついてくる」と言ってやってください。

(山田中学生問題研究所 山田 暁生) 1998/2/25/

 

 

小学校二年の息子が、九九を覚えられずに困っています。人気キャラクターのポケットモンスターに出てくるモンスターの種類はすぐに覚えたのですが。九九が覚えられないと、ここで算数の理解がつまずいてしまいそうで不安です。(埼玉県朝霞市・会社負、42歳)

 

回答

昔、私は「九九の歌」を覚えられなくて毎日居残りでした。しかし「となえて覚える」指導には欠点があります。忘れた時に自分で復元できないのです。むしろ単なる暗記ではなく図にして、かけ算の概念を理解させるといいのです。

「1あたりの数×いくっ分」というかけ算の意味を理解させるには、目に見える図にするのが近道です。例えば「車一台あたりにタイヤが四個、その車が二台」なら「四個X二=八個」。これをまず、分かりやすくタイヤの絵をかいて表します。次に1を表す正方形を厚紙などで切って作り、タイヤの絵の代わりに使います。縦に一台あたり(四個)、横に何台分(二列)として並べます。ここで厚紙は四個が二列しきつめてあります。この長方形が四×二の量のイメージです。次にこの厚紙の図を自分でかけるようにします。そこまでがんばってできたらもう大丈夫。忘れたら、この厚紙の図をかけばいいのです。

結局は九九の歌を覚えなければいけないのですか、歌だけでは、記憶しただけでかけ算を理解したつもりになり、後々つまずく子供が出てきます。歌を忘れたときに概念を自分で思い出せるように、具体的な図で表すことを大切にしてください。

(小学校敦諭  平山 英生) 1998/2/18/

 

 

帰国子女の娘が、市立小学校の「男が先、女が後」という名簿に疑問を感じたようです。「名簿だけでなく並ぶときも男女別だし、身体測定の時、なぜいつも女の子は待たされるの」と聞かれ、答えられませんでした。担任の女性教諭に男女混合名簿を検討してほしいと言うと「今まで不都合はなかったし、その必要はない」と言われました。

(名古屋市・主婦、35歳)

 

回答

男女混合名簿の文化の中で育ってきた娘さんが不思議に思われるのは、至極まっとうです。日本でも男女混合名簿を採用する学校はあるし、それで現実に何の不都合もないのです。今、学校教育の中で、こうした形でいつの間にか性別役割分業や性差別の意識が〃刷り込まれる〃という批判が出ています。

生徒や親の素朴な疑問を検討もしないのはどうかと思われます。市立学校では教育委員会などへの配慮が必要で、一人の教師が行う改革としては重荷かもしれませんが、先生にはもう少し誠意ある回答が望まれるところです。

納得できるまで様々なところに回答を求めるのも一つの方法です。小さなことでも、こうした疑問を地道に考えることが、学校や地域の文化を変える切り口にもなりうるからです。

性別役割分業に疑問を感じない人を説得するのは難しいことですが、娘さんの疑問は正当です。先生に受け入れられなかったことで間違った挫折感を与えないように、まずはご両親が支えてあげてください。

(近畿大学講師 竹村 洋介) 1998/2/4/

 

 

パソコン通信にはまる息子

 

高校二年生の息子が夫に誘われてパソコン通信を始めました。ところが毎晩、何時間も通信するため、電話代が先月は5万円を突破。パソコンばかり見ていると目も悪くなるだろうし、画面をのぞき込んで笑ったりする姿は見ていてとても暗いです。機械ばかり相手にして、人間椙手のコミュニケーション能力にも不安を感じます。(東京都・主婦、50歳)

 

父子で同じパソコンネットですか。なかなかほほ笑ましい風景ですね。しかもかなり熱中なさっているようですね。もっともこの熱はたいがいの場合、幸か不幸か、やがて過ぎ去っていくものです。健康への最低限の留意は必要だとしても、過度の心配は裏目にしか出ません。

ひょっとして、パソコンを何だかえたいの知れないものとして怖がっておられませんか。パソコンに限らず、テレビも自動車も、出てきたころには大げさなことがいわれたものです。携帯電話で笑い出す人を見て不気味なのはわかりますが、暗いといって批判するほどのことでもありません。パソコンも同じことでしょう。「機械親和性」など々の言は、コンピューターの向こうに人がいることを理解していない人が口にするものに渦ぎません。

電話代は確かにかかり過ぎですが、各種のディスカウントを利用されることをみなさんでお考えになってはいかがですか。そのうえで、     お母さんもともに楽しまれるのもよろしいのではないでしょうか。

(近畿大学溝師  竹村 洋介)

 

 

おっかけに熱中する娘

 

高校一年の娘がよく旅行すると思っていたら、人気男性アイドルグループの”おっかけ”をしていたそうです。アルバイトで旅費を稼ぎ、くっついて歩いていたのです。やめさせたいのですが「アイドルの一人と仲良くなれそうなのに、ほかの女の子に取られてしまう」と言って聞きません。

(東京都・自営業、48歳)

 

回答

アイドルの”おっかけ”は大人になれば卒業すると言います。アイドルの正体が分かって幻滅したり、夢やあこがれをアイドルに託すことはできないことを悟るようになるからです。また、恋人が出来たり、打ち込める対象が見つかったりすれば、度を超すことはないし、自然に卒業するようになると思います。

おっかけに熱中する背景に、家庭や学校がつまらないなど、満たされない感情がありませんか。それとなく、娘さんの生活全体を検討してみてください。

今ただちにやめさせることは難しいかもしれません。頭ごなしに否定するよりも、おっかけの内容を親にオープンに話せる関係をつくりましょう。また、娘さんの夢や希望、将来のこと、悩みなどを親子でじっくり話す時間を大切にすることが根本的な解決につながると思います。進路や目標がきちんとつかめれば熱は冷めていくのではないでしょうか。

なおおっかけにはお金がかかるはずです。高校生が普通のアルバイトでまかなうことができる金額なのかは疑問です。金銭の計画をたてる指導が必要かと思います。

(千葉大学教授  宮本 みち子) 1998/1/28/

 

 

単身赴任で娘が疎遠に

小学校二年生の娘が、三年間、単身赴任で離れている間によそよそしくなってしまいました。赴任中も月に一度くらいは家に帰ったのですが、帰任してみると、以前のように話ができません。母親にべったりで寂しく感じるとともに、我ながら父性が欠落した家族関係に不安を感じることもあります。この先、どうやって娘とつきあったらいいでしょう。(神奈川県茅ケ崎市・会社員、33歳)

 

学校での由来事や友遠のこと、近所の犬や道々の草木のことなど、小学校低学年ころは家族に話したいことはたくさんあります。しかしその時期にお父さんが不在であれば、すべてを母親に向けていたはずです。また、母親も父親像を兼任していたはずです。月に一度、娘さんの前に現れていたとしても、それは日常の風景ではなく、疎遼になるのは仕方ないことだと思います。親子だからといって、時空を超越した絶対的な関係はないという悲しい現実なのです。娘さんのよそよそしさは当分続くと思います。

しかし、またこれから喜怒衷楽を共育する時を重ねることで新たな親子関係がはぐくまれることに気付いてほしいと思います。ありのままのあなたの働く姿や、暮らしぶりこそが、最も近い人として語り合う日々をもたらすことだと思います。今の多少のギクシャクは我慢して、「お父さんね、今日、仕事場でこんなことあったよ」というように、3年前よりずっと成長している娘さんに話しかけてみましよう。

(小学校教諭 平山 英生)

 

質問

うちの近くで小学生を狙う通り魔事件が起きました。ナイフで衣服を切られる程度で、まだけが人などはいませんが、小学四年生の娘がいるので怖いです。といって、友人と遊ぶために外出するなとはかわいそうで言えません。他人を見たら犯罪者と思えなどという極端な人間不信も植え付けたくありません。親としてはどのように言い聞かせたらいいでしょうか。(埼玉県草加市・主帰、39歳)

 

回答

四年生の子供にできる自衛法は「相手から離れている場合は、大声で助けを求め、最も近い家や店に逃げ込む」「なるべく一人で歩かない」「日没以降の外出(帰路も含めて)はしない」「人通りの少ない道は避ける」ことぐらいです。しかし「お触り魔」ぐらいならこのような自衛でしのげることがほとんどですが、刃物が登場する場合は子供の自衛の域を超えています。警察の出番です。

「他人を見たら犯人と思え」ということはあまり効果がありません。まずは命の尊さをお子様と話し合ってください。その上で「残念だけど、世の中には人を愛せなくなって、見境なく切りつけたりする人もいる」ということを話してやってください、でも多くの人は信じられるのだということも合わせて伝えてください。だから「人に助けを求めることが命を救うことだよ」と話してください。

解決するまで日々ご心配のことと思いますが、学校・保護者、そしてこの場合は警察も交えて三者がよく相談し、子供たちの命を守ることを第一に、具体的・集団的な取り紺みが望まれます。

(小学校敦諭  平山 英生)1997/10/15/水 掲載

 

 

学校の監督貴任はどこまで

質問

友人の娘が通う中学の校長が「最近、中学生の行動範囲は校外に広がっている。学校内で起きたことについては当然、学校が指導すべきだが、放課後に学校外で何か問題があったときは、学校に連絡する前に警察へ通報してほしい」と発言し、父母たちの間で波紋が広がっています。学校任せも問題だと思いますが、校長からこんな言葉が出る時代、親はどこまで学校に任せたらいいのでしょうか。(浦和市・主婦、48歳)

 

回答

従来、学校は授業だけでなく、放課後まで、また生活の隅々まで何もかも抱え込みすぎると批判されてきました。それが教師の仕事を増やし、また行き過ぎた管理につながっていた面もあります。それを思うと校長もずいぶん思い切った発言をするようになったものです。

好むと好まざるとにかかわらず、学校は管理できないとのことですから「学校にお任せ」は通じなくなったわけです。学校が学校として校内でのことなど最低限の責任をとらねばならないのは言うまでもありませんが、子供のことすべてをゆだねきれるもの        ではありません。

かつて地域社会が強い影響力をもっていた時代もそうでしたし、今も全体としてはこの方向に向かっています。

お任せが通じなくなった以上,子供は親を含めた大人たちが責任をもつのだと覚悟せねばなりません。学校の責任逃れを許すことはありませんが、大人とし子供の教育に責任を持つ姿勢が求められてきているのです。

(近畿大学溝師  竹村 洋介)1997/10/22/連載記事

 

 

相談

中学二年生の息子の数学の試験結果を見て驚きました。小学生のころは算数が一番得意科目だったのに、悲惨な結果だったのです。証明や方程式など抽象的な内容を勉強するようになってから、理解できないうちに授業が進むようになったと息子は言います。本人も好きな科目だっただけにショックが大きいようで、どうやって立ち直らせればよいのでしょうか。(千葉市・会社員、40歳)

 

回答

小学校の「算数」から中学校の「数学」に移る段階で二つの高いハードルがあります。それは「正・負の数」(プラス・マイナスの理解と計算)という新しい数の世界に入ったこと。もう一つは「文字を含んだ式」の理解と計算(方程式も含む)です。いずれも「なぜそうなるのか」「なぜそうできるのか」という「なぜ?」をしっかり理解して次へ進む学習の仕方が要求されるのです。

中二で数学が分からなくなったというのは中一のこういった基礎 の上に、さらにレベルを上げた「なぜそういえるのか」という学習内容が立ちはだ    かっているからです。図形の証明や連立方程式などがそれです。

でも恐れることはありません。数学は石垣のようなもので、一年の基礎をしっかり固め直せば、中二の積み上げも今から十分できます。家で十分時間を割いて自主的に復習するとよいですね。

もともと算数が好きだったお子さんですから、その気になれば”補強”も今なら容易です。中一の教科書か問題集で不明点だけ集中的にやってみましょう。きっと回復しますよ。

(山田中学生問題研究所  山田 暁生)1997/10/29/

 

 

相談

中学二年生の息子が、二学期になってから学校に行きたくないと言いだし、休みがちです。多くを語りませんが何かあるのかと思い、無理に学校に行かせず、様子を見ています。不登校の子供たちを学校の外で教育するサークルのようなものがあると聞きましたが、どんな活動をしているのでしょうか。一時的な避難場所として役に立つのでしょうか。(東京都・主婦、40歳)

 

回答

無理やりに学校へ行かせることだけが解決策ではないというのが、この問題を考える場合の原則です。学校へ行かなくなるのは、それなりの理由があるはずですから、それを解決せずにただ再登校すればよいというものではありません。無理な再登校は問題をこじらせることすらあります。

質問にある不登校生徒向けのサークルやフリースクールの多くは、若い人やお母さん方がボランティアで自主的に運営しているものがほとんどです。その内容も主宰者や参加者の個性によりますから、レクリエーション的な活動をするところ、生活するための技術の習得を中心にするところなど実に多様です。

参加者の年齢層や規模も様々です。ただ受験勉強に積極的なところは少ないでしょう。しかし受験や進学よりも、もっと大切なことを息子さんは心のうちに抱えておられるのではないでしようか。

そこに合うか、合わないかは息子さんが何を求めているかによります。それが重要なカギです。本人が進んでいきたいと言うのならば抱えている問題の解決にもきつと役に立つでしょう。よく調べて利用してみるのがいいのではないでしょうか。

(近畿大学講師  竹村 洋介)1997/11/5/

 

 

ブランド品欲しがる小学生

相談

小学六年生の妓が誕生日プレゼントに海外ブランド物の財布がほしいといいます。学校で仲の良い友達が使っているのを見てほしくなったようです。女子高生のブランドブームの話は聞きますが小学生はまだ早いと思いますが……。(横浜市・主婦、37歳)

 

回答

ブランドのサイフがなぜほしいのか、子どもさんに説明を求めてみてはどうでしょうか。「友だちがもっているから」というのは理由にならないことも伝えましょう。価格・品質・デザインを総合的に評価してブランドのサイフの方が勝っているということになれば、キャラクター物の安物ではなくブランドのサイフをプレゼントする方が適切な選択ということになります。

今、子どもたちは、流行の波に乗せられて、次から次へと新しいものを求めています。高校生のなかに流行したものが、あっという間に中学生、小学生に広がっていくという昨今です。親も先生もめまぐるしい変化にたじたじです。

でも、親が自分の考え方を子どもにきちんと示さない限り、子どもは商業主義の波にさらわれてしまいます。子どもの要求に対して「ちょっとおかしいな」と感じたら、それを子どもに話しましよう。そして、なぜおかしいと思うのかを説明し、子どもからも意見をもとめ、よりょい答えに達するというプロセスをもちたいものです。子どもは説明をもとめられるなかで、自分の欲求をあらためて点検することになり、取捨選択ができるようになるのではないでしょうか。

(千葉大学教授  宮本 みち子)1997/11/12/

 

 

書きやすさは時代で変化

相談

小学校一年生の息子に「”右”と”左”の書き順はなぜ違うの」と聞かれて困りました。子供の問いには理論的にわかりやすく答えるようにしていますが、書き順は理由が付かない気がします。まだ子供にとって父親は何でも知っている存在なのでごまかしたくはないのですが「そういうことになっている」としか言えませんでした。

(川崎市・会社員、34歳)

 

回答

学校で教える筆順は1958年に文部省が出した「筆順指導の手引き」に基づいています。しかし元来、筆順は書きやすさ、整えやすさを根拠に成立しました。現実には、かい書・行書などの書体や縦書き・横書きによって書きやすさが違うため、複数の筆順があります。時代とともに筆順も変化しているのに、学校教育の場では一つの「手引き」が正しいとして教えられています。

「右」と「左」の筆順の違いは「手引き」を見れば解説されていますが、納得できるかどらかは別問題。筆順を記憶カテストのように扱う傾向は減ってきたとは思いますが、私は「書きやすさ」「整えやすさ」で筆順を教えるべきだと思います。必要に応じて変化しているモノとして子供たちに教えでいます。

私も時々、教科竈やドリルで「正しい」筆順を覚えた子供から「先生、筆順が違う」と指摘されることがあります。教室では父親同様、すべてを知っているはずの先生ですが、実際にはそんなことは不可能。「先生だって知らないことや忘れること、間違って覚    えることがあるから、今も勉強しているんだよ」と言い張っています。

(小学校教諭  平山 英生)1997/11/26/水 連載記事

 

 

相談内容

私立高校一年生の娘のことですが、茶パツ(茶色に染めた髪)、化粧、PHSの持ち込みなどは学校の規則で禁止なのに、平気でやっています。母親として気が付けば注意はしますが、校則を軽んじているのかいっこうに直しません。どのような形で助言するのが効果的でしょうか。

(神奈川県鎌倉市・主婦、46歳)

 

回答

子供たちが校則を守る気がなくなっている原点は、家庭のルールがなくなったことと密接に関係しています。何をしても許される家庭で育った子供たちは、社会の規則さえ無視してしまいます。茶パツ、化粧、PHSの女子高生3点セットは、その他の行動とセットになっていませんか。朝寝坊、夜更かし、遅い帰宅、乱雑な部屋、友人宅の泊まり歩きなどです。こうした現象は、友達の中に伝染病のように広がる性質を持っています。

親が対応に苦慮するような新しい現象が子供をさらい、何が正しく何が悪いのかさえわからないことがしばしばです。一つの家庭だけで対処することはほとんど不可能です。

そこで一つの提案です。子供の友達グループの親同士で連絡を取り合い、まずつきあいの決まりを作ります。たとえば帰宅時間を決め、それを全家庭で実行するのです。親がしなければならないことは、時代にあった子供のルールを親たちが協力して作り、実行することです。母親だけでなく父親も参加しなければ成功しません。また「校則で禁止しているからダメ」でなく「遅刻したりPHSを教室で使ったりするとなぜ悪いのか」を、子供と話し合いましょう。

(千葉大学敦授  宮本 みち子)1997/12/3/水 掲載記事

 

 

「人質諭」拾て 話し合いを

相談

中学二年の娘の学校のPTAの役員をしています。いじめらしいものがあるようで、先生に対して意見もありますが、PTAでは学校側の話に従い、正面切ってモノを言う雰囲気ではありません。役員であるほかの母親は「子どもを人質に取られているので余計なことは言えない」ど言います。こんなことでいいのでしょうか。(東京都武蔵野市・会社員、45歳)

 

回答

PTAP(保護者)とT(教師)とが対等の立場で学校や子どもの問題について話し合い、協力して解決することを目的としている組織です。学校の従属機関でもなければ、後援団体でもありません。ですから、PTAの一員である校長がツルの一声で、PTAが子どものためにやろうとしていることをつぶしたり、学校側に都合が悪いからと広報の内容を勝手に変えたりするのは目的に反しています。あくまでも民    主的に運営すべきで、PTの十分な話し合いと協力がなければなりません。

その橋渡し役とかじ取りをするのが役員の仕事ですから、「人質に取られている」などと後ろ向きになっていては任務は果たせません。子どもの成長にとってこれは問題だと思うことは発言し、教師とともに解決に向かう姿勢を持ってください。

お母さん方はよく「人質論」を出しますが恐れるに足らず。事実があれば堂々ど話し合い、の場で問いただしてください。「いじめ」も大事な話し合い問題です。勇気を持って切り出してください。

(山田 中学生問題研究所  山田 暁生)1997/12/10/水 掲載記事

 

 

相談

五歳の娘が近所の友達と遊ぶ約束をするのですが、いつもすっぽかされます。相手のお母さんも「じゃあ、あしたの○時にね」と娘に言ったのを覚えています。後日、相手の方に「娘が楽しみにしていたんだけれど……」というと、「ほかに用ができたのよね」と言われてしまいました。子どもの約束をないがしろにされたようで不愉快です。子どもに、どう説明すればいいのでしょうか。(滋賀県大津市・主婦、36歳)

 

回答

まさか、そのお母さんは、ご自分の友達と会う約束を簡単にすっぽかしはしないはずです。ということは、幼い子どもの「あすまた遊ぼうね」という約束は、大人の約束と同じように守らなければならないものとは考えていないのでしょう。だから親の都合や子どもの気分で、簡単に破っているのだと思います。

一方あなたは、お子さんの年齢にかかわりなく、お子さん自身の気持ちや予定時間というものを非常に尊重しているのです。さてどうしたらよいでしょう。

子どもさんをがっかりさせたくないのなら、約束はしないほうがよいようです。それでもその子と遊ばせたいのなら、その日ごとに一緒に遊べる機会をみつけていってはどうでしょう。それがいやなら、あなたのスタイルに合うようなお友達を探すことになります。もう少し大きくなれば、親に関係なく子ども同士で遊ぶ約束をし、目分たちで遊ぶようになります。いつも約束を破る子は、友達を失うでしょう。その時期まで待ちましょう。

(千葉大学教綬  宮本 みち子)1997/12/17/

 

 

質問

中学二年の息子が最近、週に二日は学校に行きません。いじめもないし、先生が嫌いでもなさそうです。「政強はしたくないけど高校は出ておきたい」と、甘えた言葉を吐きます。単なる怠け病にしか見えなくても、背後には深い問題があることもあるという話を聞き、頭ごなしにしかりとばすこともできません。(千葉県船橋市・主婦、45歳)

 

回答

学校へ行かない日、息子さんは家にいるのでしょうか。それとも、どこか特定のところへ出かけているのでしょうか。どちらにしても、なにかに取り組んだりはしていませんか?

それが、親の目からはつまらないこと、理解しがたいことであっても、本人にとっては今、とても大切なことであるかもしれません。いじめや先生のことなど人間関係のトラブルを抱えていても、大人の目には見えないように振る舞うのはよくあることです。ましてや、勉強嫌いなどまったく不思議でも何でもないことです。

怠け病という病気はありません。強制的に登校させることは可能かもしれませんが、それは表面的な解決です。せっかく見えてきた問題にふたをしてしまうことにもなりかねません。なぜ息子さんが学校へ行こうとしないのか、そこから理解を始めるしか方法はありません。

杷憂(きゆう)でしょうが、非行にかかわることなら、なおさらこの理解が大切です。息子さんがしようとしていることがわかれば、おのずと自信を持った態度で対応することができるようになるでしよう。

(近畿大学講帥  竹村 洋介)1998/1/7/

 

 

潔癖性の息子に当惑

小学一年の息子が潔癖性で困っています。昨年まで住んでいた町で、病原性大腸菌O(オー)157の死者が出たために、幼稚園で厳しく手洗いをしつけられました。このため「手を洗わないで食べ物を食べると死んでしまう」といった恐怖を感じるようです。不潔でない程度に潔癖性を治したいのですが。(川崎市・会社員、32歳)

 

回答

学期末に渡す通知簿の生活欄にも、大抵「身の回りを清潔にする」ことが「評価」項目として載っています。学校でも家庭でも「病原菌が入ったらこんなひどいことになる」ということはよく教えます。繰り返しそう敦えられた子供たちは、腐原菌への恐怖が肥大し、自分にできる防衛は「手を洗う」ことだと思い込んでしまっています。

しかし、手を洗うだけですべてが防げるわけではありません。空気中を漂う病原菌もあります。手を洗うのは、実は防衛手段の一部でしかないのです。体には本来、抵抗力が備  わっています。子供には、不断に病原菌と闘って病気にならないようにしている体の力を知ってもらいたいと思います。

その体の力を強くするために、しっかり栄養をとるなど、病原菌に負けない体づくりの大切さを理解させたいと思います。少々の雑菌になど負けないことを自覚させてください。「洗った野菜や焼いたケーキなどは雑菌と闘って人間の命を守る力があるから大丈夫だ。だから今、君も元気なんだよ」と伝えてやってください。

(小学校教諭   平山   英生)1998/1/14/

 

 

息子が通う中学の担任の先生宅に、嫌がらせの手紙がありました。先生は手紙の文字から、息子とその友人グルーブを犯人と決めつけ、注意しました。校則を守らず、態度がよくないからのようです。でも十分な証拠もなく犯人とされて息子は傷つきました。先生に抗議したいのですが。

(大阪市・主婦、40歳)

 

回答

筆跡からのおよその推察で息子さんたちだと決めつけている担任に抗議したいお母さんの気持ちはわかります。十分な証拠もなく”犯人”にされてはたまりません。大きく傷ついている息子さんを見るにつけ、親として何とかしてやりたいと思うのも当然でず。

ですが、いきなり抗議ではなく、まずその手紙を直接見せてもらい、担任が決めつけた根拠を冷静に、じっくり聞いてみてはどうでしょうか。そして、親としての思いもはっきりと伝え、もし担任の勘違いであることが明らかなら、たとえ相手が子どもであれ、心を大きく瘍つけたことに対し、本人への謝罪を求めてもよいと思います。

それとは別に、先生に次のことを伝えましょう。普段、決まりをあまり守っていないとお母さんも認めるお子さんの生活姿勢も、親の責任において併せて指導していくこと。また、いきなり子どもを犯人と決めつけてしまわず、保謹者にも相談を持ちかけてもらって、問題解決に協力させてほしいこと。そうすれば、あなたの〃抗議。は良い結果を生んでくれるでしょう。お子さんにも経遇を伝えてあげてください。

(山田中学生問題研究所  山田 暁生)1998/1/21/