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変わる学校給食


学校給食が様変わりしている。広い食堂(ランチルーム)を設け、ゆったりと給食をとる学校が増加。心にゆとりを与えるだけでなく、クラスの枠を超えた子供回土の交流の場にもなっている。メニューもバラエティーに富んだものが目立つ。偏食が指摘される現代の子供たちの貴重な栄養摂取の機会になっているとのデータもあり、給食の役割はますます重要になっているようだ。

午前の授業終了を告げるチャイムが鳴ると、生徒が続々と校舎内のランチルームヘ。入り口に立つ教師に食券を渡すと、隣接する調理場のカウンターに並ぶ磁器に盛られた食べ物を盆にのせ、仲間同士で席に着き食事を始めた。室内には、シクラメンの鉢植えや観葉植物、壁には造花も飾られ、和やかな雰囲気が漂う。

余裕教室を転用

今月十五日、千葉県船橋市の市立三山中学校で三学期最後の給食があった。同校が余裕教室を利用してランチルームを設けたのは三年前。約四百平方メートルの広さで、全校生徒と教職員が給食を共にする。
同市の市立中学校の給食は、二種類のメニューと持参弁当の計三種類からの選択方式を採用している。この日の三山中のメニューはA献立が昆布ご飯、キノコと豆腐の卵とじ、白菜スープなど。B献立がフレンチトースト、きんちゃく揚げ、カレーヌードルスープなど。生徒は一カ月前に渡された献立表を見て、あらかじめ何を食べるか予約しておく仕組みだ。
「好きな方を選べるからおいしく食べられ、残す量が減った」と同校二年生の家形桂子さん(!4)は笑顔を見せる。
文部省によると、全国で食堂のある学校は九七年五月の時点で、小学校四千六百二十四校、中学校八百四十五校。給食実施校のそれぞれ二割と一割を占め、八七年当時に比べると共にほぼ倍増している。少子化に伴い余裕教室が増え、それを転用したケースが目立つ。
ひと口にランチルームと。いっても学校によって様々。床の間のある和室や、室内に暖炉を据えたもの、地元産の木材をふんだんに使ったものなど、工夫を凝らしたユニークな造りが少なくない。

「心の健康はぐくむ」

同省の金田雅代学校給食調査宮は、「くつろぎや楽しさを感じられる環境で食事をすることで心の健康をはぐくむことができる」とランチルームの効用を指摘する。三山中のように全校生徒が一堂に会して食事をすることで、学年やクラスの垣根を超えた交流が促進される面もあるようだ。同中の岡田秀美枝校長は「下級生が上級生を見て食事マナーを学ぶ機会にもなっている」と話す。メニューに目を向けても、選択方式以外に、火皿に盛られた食べ物から必要な量を取るバイキング方式、主食、・副食などごとに数種類用意された中から好みに合ったものを組み合わせるカフェテリア方式などを採用する学校が徐々に増えている。
いずれも児童や生徒自身が、栄養バランスを考えながら料理を選ぶ力を養うことが目的の一つで、船橋市教育委員会も「偏ったし好を助長しないように指導しながら、生徒の自己管理能力を高めたい」と話す。

栄養不足を補う

飽食の時代といわれながら、学校給食が子供の栄養不足を補っているという興味深いデータもある。日本体育・学校給食センターが小中学生を対象に九七年に実施した食事状況調査によると、学校給食がある平日は小中学生とも所要量の栄養素を摂取していた。しかし、給食がない週末になると、ビタミン、ミネラルの不足がみられ、特に中学生では、カルシウムが所要量の六割台まで落ち込んでいる。
三山中の管理栄養士、野田節子さんは「ビタミンやミネラルを意識的に多く取り入れたメニューを考えている」と話す。ただ、「野菜などは残す生徒が少なくない」のも事実。食体験の乏しさが原因とみられ、同市では、残されることを覚悟の上で、煮物やお浸しなどを定期的にメニューに盛り込んでいるという。
子供たちにとって、外食やスナック菓子などの間食が当たり前のようになっている現在、食体験を積ませる役割も家庭から学校にゆだねられているようだ。

1999/3/26/金