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第U部 文教施策の動向と展開
第10章 教育・文化・スポーツの国際化に向けて
第1節 新時代の国際交流
第2節 国際社会に生きる日本人の育成
第3節 教育・文化・スポーツにおける国際交流・協力
第4節 留学生交流の推進
第5節 世界に広がる日本語教育
第6節 海外子女・帰国子女教育の充実
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第10章 教育・文化・スポーツの国際化に向けて
[Image]日本語を学ぶ外国人
第1節 新時代の国際交流
戦後50年を迎え,世界は東西対立による冷戦構造からソビエト連邦解体によるその終結へと大きく変化し,世界に平和と安定がもたらされるかに見えたが,現実には,経済摩擦や民族紛争が多発・激化するなど,我が国を取り巻く国際環境には厳しいものがある。
このような状況の中で,各国,各民族が協調し発展していくためには,お互いの歴史や文化,習慣,価値観等を理解し合い,信頼関係を築いていく努力を積み重ねることが不可欠である。また,我が国がその国力と地位にふさわしい国際貢献を積極的に行っていく必要がある。
国際理解の増進を図り,世界平和と国際社会の安定を築いていくためには,教育・文化・スポーツの分野における国際的な交流・協力を計画的,継続的かつ積極的に推進して,国際的な信頼関係を築くとともに我が国をより開かれたものとしていくことが必要である。
政府としては,平成6年6月に内閣総理大臣の下で開催された「国際文化交流に関する懇談会」により取りまとめられた報告書「新しい時代の国際文化交流」を踏まえ,政府全体として国際文化交流の推進に取り組んでいる。
また,平成4年6月には,政府開発援助大綱(ODA大綱)を定め,環境問題等の地球的規模の問題への取組,人造り及び研究協力等の技術の向上・普及をもたらす協力等を重点事項として掲げ,一層効果的・効率的な政府開発援助を実施している。
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第2節 国際社会に生きる日本人の育成
1 国際理解教育の推進
国際化が進展する中で,国際社会の中で信頼される日本人を育成することが,学校教育においても重要な課題となっている。学習指導要領の改訂においても,その基本方針の一つに国際理解教育の推進と我が国の伝統と文化の尊重とを挙げ,教科等の内容を改善した。各教科以外の特別活動等の教育活動の中でも,例えば外国の学校との姉妹校交流,地域における国際交流活動等様々な取組が行われるようになってきている。
大学,短期大学においても,国際関係の分野を対象とする学部・学科が増加する傾向にある。例えば,大学の学科の名称に「国際」の語を冠しているものは,平成7年度では93学科となっている。
社会教育の分野では,青年学級・教室,婦人学級,家庭教育学級,成人大学講座などにおいて国際理解に関する学習内容を取り上げている。また,平成5年度からは,地域の国際理解に関する学習や交流・交歓事業を総合的に促進し,新しいコミュニティの形成に資する地域国際交流促進事業を実施している。
2 外国語教育の充実
(1) 学習指導要領の改訂
学習指導要領においては,中学校及び高等学校の外国語教育について,コミュニケ [ション能力の育成や国際理解の基礎を培うことを一層重視している。例えば,中学校では,週当たり授業時間を1時間増やして4時間とすることもできるようにしたり,高等学校では,新科目の「オーラル・コミュニケーションA,B,C」を設けている。
(2) 語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)
この事業は,外国語教育において,生徒が直接ネイティブ・スピーカーから生きた言語を学ぶ機会を豊富に提供するために,文部省が,外務省及び自治省並びに地方公共団体と共同して実施しているものである。この事業により,招致した外国語指導助手と日本人外国語担当教員によるティーム・ティーチング(協同授業)は,生徒のコミュニケーション能力の育成に大きな効果をあげており,今後ともその拡充に努めることとしている(表U−10−1
外国語指導助手国別招致人数)。
(3) 英語担当教員の指導力の向上等
平成7年度には,中学校及び高等学校の英語担当教員の国内における研修( 600人),アメリカ・イギリスへの2か月派遣事業(
190人)を引き続き実施するとともに,12か月派遣事業(30人から33人に拡充)を実施,6か月派遣事業(58人から82人に拡充)においては,アメリカ及びイギリス以外に,新たにオーストラリアを加えて実施する。
また,国立大学の外国語教員養成課程の在学生に対する国費留学生制度(教員養成大学・学部学生派遣制度( 116人から 126人に拡充))を実施する。
(4) 英語教育機器等の整備費の補助
高等学校におけるLL等の教育機器整備のための補助事業を実施する。
(5) 小学校における外国語教育の研究実践
小学校における外国語教育については様々な意見があり,幅広い観点から慎重な検討が必要なため,研究開発学校を指定し,実践的研究を行っている。
(6) 多様な外国語教育の推進
国際化の進展に適切に対応するためには,英語以外の多様な外国語教育についても重視する必要がある。そのため,平成3年度から高等学校外国語教育多様化研究協力校を指定し,実践的研究を行っている。
大学・短期大学における外国語教育は,外国語学部等における教育・研究をはじめ多様な形で行われている。しかし,その内容・方法については,一般に講読等の形態に偏重しているとの批判があり,各大学では,その教育内容・方法の改善について,少人数教育やLL,ビデオ等の教育機器を利用して,コミュニケーション能力の向上に向け様々な取組が行われている。
また,諸外国の政府と協力し,大学等のドイツ語,フランス語の担当教員を,外国で開催される語学教育研修会に参加させている(平成7年度は34人を派遣)。
なお,大学等における外国語に関する授業科目の開設状況を見ると,近年,様々な言語について開設が進んでおり,平成6年度現在,合計約70種の言語に及んでいる。
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第3節 教育・文化・スポーツにおける国際交流・協力
1 国際交流・協力のための枠組み
現在,我が国と諸外国との間では,国,地方公共団体,民間団体等により,様々な形態の教育・文化・スポーツの分野における国際交流・協力が行われている。政府レベルでは,45か国との間で文化協定,文化取極等が適用されており,二国間の留学生交流,相手国言語教育の普及,研究者交流,スポーツ・文化交流等を促進するとともに,これらに関する諸課題について協議を行っている(表U−10−2
文化協定等締結相手国一覧)。
また,発展途上国の人材養成等に関する二国間協力や,ユネスコ,OECD,APEC等の国際機関を通じた国際協力も,近年一層重要となってきている。
2 教育の国際交流・協力
(1) 教員等の交流
文部省では,小・中・高等学校等教員の現職研修の一環として,毎年約 5,000人の教員を海外に派遣している。また,諸外国との間の相互理解の増進と相手国理解教育の推進のため,中等教育段階の教員をオーストラリア,ニュージーランド等に派遣するとともに,相手国側からも交換教員を受け入れている。さらに,国際交流基金の
u中学・高校教員招聘(しょうへい)事業」(平成7年度 285人)や国際協力事業団 iJICA)の「21世紀のための友情計画」(平成7年度教員参加者
164人)により,外国の教員が我が国に招待されており,我が国の教員と合宿セミナーや学校訪問を通じての意見交換等の交流を行っている。
大学教員等については,文部省の在外研究員制度や外国人教師制度,日本学術振興会の事業等を通じて,平成5年度には, 9,831人の教員・研究者を海外に派遣し,
5,243人の教員・研究者を海外から受け入れている。特に日米間には研究者等の交流のためのいわゆるフルブライト計画があり,昭和27年以来,日米両国合わせて約
7,400人の研究者・大学院学生等の交流が行われている(平成6年度 大学院学生・研究者等合計 121名)。
また,昭和50年からの「国連婦人の10年」以降,各地域において女性の国際交流が活発になってきている。このため文部省では,地方公共団体が行う「地域国際交流促進事業」や婦人団体の国際交流事業に対して助成している。また,国立婦人教育会館では,「国際交流フォーラム」や,アジア太平洋地域の婦人行政担当官等を対象とする「海外婦人教育情報専門家情報処理研修」などの各種の研修を行っている。
これらのほか,諸外国の教育・学術・文化の分野で優れた業績を持ち,かつ指導的な地位にある者を我が国に招待し,我が国の関係者との意見交換,講演等を行う事業や,我が国の社会教育の指導者を海外に派遣して各国の社会教育関係者等と意見交換を行う事業等を実施している。また,平成7年度は,中国で第4回世界女性会議と並行して開催されるNGOフォーラムに成人教育の関係者が集い,「平等,開発,平和のための行動」をテーマに意見を交換するなどの事業を行っている。
(2) 青少年交流
(ア) 青少年の国際交流活動
世界各国の青年を日本に招聘(しょうへい)する外務省の「青年日本研修」や,総務庁の「世界青年の船」等,国際協力事業団(JICA)の「21世紀のための友情計画」のほか,全国各地では,各都道府県・市町村や社会教育関係団体,民間団体が積極的に青少年の国際交流を実施している。
文部省では,(社)中央青少年団体連絡協議会,(財)世界青少年交流協会,(財)ボーイスカウト日本連盟,(社)日本青年奉仕協会等が実施する青少年の国際交流事業に対して助成しており,これらの国際交流事業により,合計
469人を派遣し, 690人を受け入れている(平成6年度)。
また,国立オリンピック記念青少年総合センターを中核とした国立青少年教育施設においても,「アジア地域青少年(教育)施設指導者研修」や「アジア青年のつどい」など,種々の国際交流事業を実施している。
(イ) 海外への修学旅行
海外への修学旅行は,外国人との交流や異文化に接する機会を得,国際理解を深めるなど意義のあるものである。
平成4年度に海外への修学旅行を行った高等学校は, 349校(公立63校,私立 286校)であり,参加生徒は7万 9,332人となっている。主な行き先は韓国
132校,アメリカ64校等である。
実施に当たっては,外国は我が国とは交通事情,通信連絡体制,医療体制等が異なるため,安全確保等には万全を期する必要がある。高等学校においては,外務省を通して必要な情報を入手したり,事前相談を行うなどして,十分な配慮をして実施している。
(ウ) 高校生の派遣・受入れ事業等
高校生交流に実績を有する(財)エイ・エフ・エス日本協会は,アセアン諸国及び我が国の都市と姉妹提携関係にあるアジア・太平洋諸国からの日本語専攻高校生受入れ等の事業を行っている。文部省は,これらの事業に対して助成を行い推進を図る一方,アメリカ,ドイツ,シンガポール及びオーストラリアの高校生招致事業に協力して,我が国の高校生を派遣している。
3 世界を結ぶ文化
文化の国際交流・協力は,我が国の文化の発展に役立つのみならず,諸外国との相互理解を進めるためにも極めて重要である。特に近年,世界の人々の日本文化に関する関心が高まってきており,日本に対する理解の増進を図るとともに,日本が文化面でも世界に貢献するため,国際的な文化交流を積極的に進めることが必要である。このため文化庁では次のような事業を行っている。
(1) 国際的芸術文化活動の推進
芸術家の交流については,「芸術フェローシップ」を実施している。舞台芸術交流については,「舞台芸術高度化・発信事業」として@海外フェスティバル等への参加公演,A地域芸術団体の海外公演,B海外の芸術団体の公演への新進芸術家の参加支援などの事業により,国際的な芸術活動の推進に努めている。また,芸術祭の中で国際公演を開催するとともに,「国民文化国際交流事業」として,地域文化の振興を目的としたアマチュアや高校生などの相互交流を実施している(第U部第9章参照)。
(2) 文化財保護に関する国際交流・協力
(ア) 在外日本古美術の修復
従来より,米国スミソニアン研究機構・フリーア美術館所蔵の日本古美術品については,文化庁に設置された在外日本古美術品保存修復協力委員会の指導の下に共同研究及び修復を進めてきている。平成6年度からは,対象を米国の他の美術館等にも拡充するとともに,海外の博物館・美術館の学芸員等に対し,日本古美術品の取扱い及び保存・管理等に関する協力を行っている。
(イ) 海外の文化遺産の保護への協力
文化庁では,平成6年8月末の戦後50周年に関する内閣総理大臣の談話を受け,政府として策定した「平和友好交流計画」の一環として,平成7年度に,文化財の分野における国際的な貢献に資するため,東京国立文化財研究所に国際文化財保存修復協力センターを設置した。このセンターは,世界の文化財の保存修復に関する国際協力,資料収集,調査研究とその結果の公表や,専門的・技術的研修を行う拠点となるものである。また,2年度から,アジア・太平洋地域の文化財建造物の保存・修復のための技術協力を行っており,7年度はブータン,ベトナム及びインドネシアに対する協力を行っている。
東京国立文化財研究所では,従来から,中国の敦煌(とんこう)における文化遺産の保存修復についての研究協力をはじめ,日本の和紙を用いる保存技術についての国際修復研修事業,文化財に関する国際シンポジウムや文化財保存セミナー等を実施している。平成7年度からは,新たに韓国・中国と共同で,文化財における環境汚染の影響と修復技術の国際共同研究を行っている。
奈良国立文化財研究所では,カンボジアのアンコール文化遺産の保護に関する研究・協力を行っており,カンボジア人の研究者を日本に招聘(しょうへい)して保存修復・環境整備等を中心とする共同研究を実施している。また,南アジア仏教遺跡の保存整備に関する共同研究も実施している。
さらに我が国は,政府間国際機関である文化財保存修復研究国際センター(ICCROM)に加盟し,国際的な研究事業等に協力を行っている。
(ウ) 世界遺産条約【用語解説】
平成5年12月,@文化遺産「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」,A自然遺産 u屋久島」「白神山地」の4件が我が国として初めて世界遺産条約に基づき世界遺産一覧表に記載された。また6年12月には「古都京都の文化財(京都市,宇治市,大津市)」が記載され,さらに同年9月,「白川郷・五箇山(ごかやま)の合掌造り集落」を推薦している。
(エ) 海外展
従来から諸外国において,国宝・重要文化財を中心とする日本古美術展を開催しており,平成7年度は,イタリアのローマ市立展示館において「信仰と美 日本美術
4000年の歴史を辿(たど)る」展を開催する予定である。
また,平成5年度より我が国と諸外国の博物館・美術館との間で,それぞれが所蔵する日本古美術・東洋美術を中心とする「博物館等海外交流古美術展」を実施している。5年度にベルギー王立美術歴史博物館において東京国立博物館の所蔵品の展覧会を開催し,6年度は,ベルギー王立美術歴史博物館の所蔵品の展覧会を東京国立博物館において開催した。7年度は,サンフランシスコ・アジア美術館の所蔵品の展覧会を京都国立博物館で開催している。
(オ) 無形の文化財保存・振興に向けての国際協力
文化庁では,外務省及びユネスコとの共催で,平成7年度に,「アジア太平洋の無形の伝統文化の保存に関する国際会議」を東京において開催した。専門家会議,公開シンポジウムを通して,アジア諸国等における無形の文化財についての現状や保存振興のための課題とその方策等について意見交換を行った。
4 スポーツの国際交流・協力
スポーツは人類共通の文化であり,スポーツを通じた国際交流は諸外国との相互理解を深めていく上で極めて効果的である。我が国でも,一流選手から一般市民まで幅広い範囲で交流が行われており,その内容も,従来の国際競技大会を中心としたものから,市民による各種交流,スポーツに関する研究協力など,多種多様なものとなっている。
文部省では,社会体育指導者を諸外国のスポーツ事情の視察に派遣する事業のほか,住民とアジア諸国等の国民とがスポーツを通じて相互理解と友好を深めるために市町村が実施するスポーツ交流事業に助成している。また,オリンピック競技大会への選手派遣や,青少年スポーツ指導員の受入れ・研修など,(財)日本オリンピック委員会や(財)日本体育協会が行う国際交流事業に対して助成している。さらに,平成7年8月に行われたユニバーシアード福岡大会をはじめ,10年の長野オリンピック冬季競技大会など,国内で開催される国際競技大会の準備等に関し,必要な支援・協力を行っている。
5 国際機関を通じた協力
(1) ユネスコ事業への参加・協力
ユネスコは,教育・科学・文化の分野における国際協力の促進を通じ,平和に貢献することを目的とする国連専門機関として,昭和20年11月に憲章が採択されて以来,平成7年で50周年を迎える。我が国はその理念を高く評価し,昭和26年の加盟以来ユネスコ関係事業に積極的に参加・協力している(表U−10−3
我が国が協力しているユネスコの主な事業)。特に,平成6年度から,(財)ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)において「女性のための識字教育モデル事業」を開始した。また,
i社)日本ユネスコ協会連盟等において,識字教育協力のための募金活動をはじめ様々な民間レベルのユネスコ活動や国際交流事業を活発に展開している。
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参 考 資 料
女性のための識字教育モデル事業
現在、世界の成人非識字者は9億人を超え、その約3分の2は女性である。開発途上国においては、女性は男性に比べて基礎教育を受ける機会が少ないため、女性の識字率は男性の識字率に比べ低くなっており、そのことが社会発展の障害となっている。
女性の非識字の問題の解決は、地球的規模で取り組むべき緊急の課題であり、1990年(平成2年)の「国際識字年」を契機として、ユネスコ等の国際機関において、識字普及のための各種の協力事業を実施してきている。
我が国は、ユネスコの教育協力事業への参加・協力、ユネスコへの識字教育信託基金の拠出、(財)ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)による事業等を通じて、アジア・太平洋地域における識字の普及に積極的に協力している。
さらに、ACCUでは、平成6年度から新たに「女性のための識字教育モデル事業」を開始した。この事業は、ACCUが国内外のNGO(民間援助団体)と協力して、アジア・太平洋地域の開発途上国において識字教育モデルセンターを設置し、ハ
[ド面で識字教育施設の整備を行うとともに、現地の識字教育指導者の養成や識字教材の製作・配布を通じて、識字教育のソフト面での充実にも協力するものである。平成6年度は、パキスタン、タイ及びベトナムの3か国において本事業を実施した。
[Image](左)女性のための識字教育モデルセンター(タイ北部山岳地帯) i右)識字教室で学習する女性たち(パキスタン)
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(2) OECD(経済協力開発機構)事業への参加
OECDは,先進諸国間に共通する政策課題を協議・検討・調整する国際機関であり,経済政策をはじめ,教育,科学技術等の広範な分野について委員会等を設置し,国際的な協力・交流・情報交換活動を行っている。教育分野については,政策課題に関する情報交換を行う「教育委員会」と,比較調査・研究を行う「教育研究・革新センター(CERI)」の二つの組織が設けられている。
文部省では,OECDの教育関係事業に対して,調査・研究活動及び国際会議への参加を通じた協力を図るとともに,平成7年度からは事業費拠出を行っている。また,4年度から毎年度1回,我が国において文部省とOECDとの共催による国際的な専門家会合を開催しており,7年度は「職業教育」をテーマとして開催する。
[Image]第3回OECD/JAPANセミナー
(3) APEC事業への協力
APEC(Asia-Pacific Economic Cooperation:アジア・太平洋経済協力)は,アジア・太平洋の18か国・地域からなり,経済問題を中心に,貿易・投資の自由化・円滑化,教育を含めた人材養成や技術協力等の分野で国際的な取組を行っている。
APECの人材養成分野における取組は重要性を増しつつあり,平成6年11月には,閣僚会議において「APEC人材養成枠組み宣言」が採択された。
APECの教育分野における取組は,「人材養成ワーキング・グループ」の下にある「教育フォーラム」において主に行われている。文部省は,「教育フォーラム」において,教員養成や産学協力等のプロジェクトに参加・協力しているほか,我が国の事業として高等教育に関するプロジェクトを実施している。また,教育分野の新たな取組として,平成5年11月の第1回非公式首脳会合の「ビジョン・ステイトメント」において,高等教育における地域協力の発展が謳(うた)われたのを受け,6年5月に「教育イニシアティブ会合」が開催された。同会合においては,アジア・太平洋地域における経済協力に焦点を当てた研究を行う「APEC研究センター」の具体化に向けて,各国・地域がそれぞれ取組を進めることとされた。これを受け,我が国においては,国際開発援助に関する大学院研究科を有する国立大学を中心に「APEC研究センター」がコンソーシアム(ゆるやかな連合体)により形成されている。7年3月及び9月には,文部省との共催により「APEC研究センター」に関する国際会議が開催された。
6 開発途上国への協力
近年,開発途上国から我が国に対しては,施設・設備などのハード面の援助とともに,人造りに対するソフト面での協力要請が増大している。
文部省では,従来から,開発途上国の人造りに対する協力のため,外国人留学生の受入れ,ユネスコ事業への参加・協力(本節5参照)などを実施してきている。
また,我が国の大学等の有機的な連携・協力を促進し,増大する開発途上国からの人造り等への協力要請に対して組織的かつ継続的に対処するため,工学・農学等の分野ごとに「開発援助大学間等協議会」を設置する等国際協力への主体的取組を進めている。このほか,開発途上国の発展に貢献する人材の養成・再教育と研究を目的とする国際開発援助関係の研究科等を筑波大学,埼玉大学,東京大学,東京工業大学,横浜国立大学,名古屋大学,神戸大学,広島大学に設置している。また,公私立を含めた大学における関連人材の養成のため,(財)国際開発高等教育機構(FASID)が実施する大学院レベルの学生を対象とした,開発援助共同講座支援事業及び海外実習の実施に必要となる情報の収集を目的とした調査事業に補助を行っている。
さらに,外務省・国際協力事業団(JICA)が実施する技術協力事業及び無償資金協力事業等に対して,各国立大学等の協力を得て,専門家の派遣(平成6年度
575人)や外国人受託研修員の受入れ(平成6年度 472人)等の協力を医学・工学・農学・教育等の分野で,積極的に行っている。
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第4節 留学生交流の推進
1 留学生受入れの意義と現状
留学生交流は,我が国と諸外国相互の教育・研究水準を高めるとともに,国際理解・国際協調の精神の醸成・推進に寄与し,特に開発途上国の場合には,その人材養成に協力するなど極めて重要な意義を有する。
(1) 留学生受入れの現状
我が国の大学等で学ぶ外国人留学生は,近年増加しており,平成6年5月1日現在でその数は5万 3,787人に上っている。これらの留学生のうち,文部省が直接に奨学金を支給する国費留学生は
6,880人で,外国政府がそれぞれの国の人材養成を図るため自国の費用で派遣している留学生が 1,330人,それ以外の4万 5,577人が私費留学生である(図U−10−1
留学生数の推移 (各年5月1日現在))。これらの留学生はその9割以上がアジア諸国の出身であり,なかでも中国・韓国・台湾の3か国(地域)で全体の78%を占めている(図U−10−2
出身地域別留学生数 (平成6年5月1日現在),表U−10−4 出身国 (地域) 別留学生数(平成6年5月1日現在))。
(2) 留学生受入れ10万人計画
文部省では,昭和58年及び59年に取りまとめられた有識者による二つの提言等に基づき,10万人の留学生受入れを目途に,渡日前から帰国後まで体系的な留学生受入れのための施策「留学生受入れ10万人計画」を総合的に推進している。計画が後期期間に入る平成4年以降は,同4年7月にとりまとめられた有識者による提言「21世紀を展望した留学生交流の総合的推進について」に基づき各種の留学生受入れ施策を推進している。
(3) 短期留学の推進
既に歴史のあるアメリカのジュニア・イヤー・アブロード・プログラム【用語解説】をはじめとして,EU諸国のエラスムス計画【用語解説】,アジア・太平洋地域のUMAP計画【用語解説】のように,近年,諸外国において,留学先の大学における学位の取得を目的とせず,母国の大学等に在籍したまま1年間程度留学を行う,いわゆる短期留学が活発化している。
また,第16回日米文化教育交流会議会合(平成5年4月)において,ジュニア・イヤー・アブロード・プログラムによる日米間の学部学生交流の推進が取り上げられ,第17回会合(平成7年1月)においても引き続き協議された。さらに,「国際文化交流に関する懇談会」報告(平成6年6月)においても,短期留学制度の創設について提言されている。
このように,新しいタイプの留学制度に対するニーズが高まる中で,文部省としても,これらの動きにこたえるべく施策を推進している。
まず,平成6年6月から「短期留学推進に関する調査研究協力者会議」を開催して,我が国の高等教育機関への短期留学生の受入れ推進方策について検討を重ね,7年3月に報告書がまとめられた。この報告では,21世紀初頭において,学生交流協定に基づく短期留学生を少なくとも5千人程度受け入れることを目途に,@情報提供の充実,A大学間交流協定の整備と活用,B英語等による特別カリキュラムの拡大,C入国時の身元保証に係る機関保証への取組,D奨学金等の充実,Eホームステイ先の開拓や留学生宿舎の整備,F地域における受入れ体制の整備,等に努める必要があるとしている。
次に,平成7年度,戦後50周年を機に策定された「平和友好交流計画」の一事業として,「短期留学推進制度」が創設された。これは,大学・大学院等に在籍したまま,1年間以内の短期間,アジア・太平洋地域から我が国に留学する者及び我が国からアジア近隣諸国等に留学する者を支援する制度である。7年度は,受入れについては
1,000名,派遣については 100名を予定している。
2 留学生受入れ体制の整備充実
(1) 海外における日本留学準備体制の整備
文部省では,従来から(財)日本国際教育協会の留学情報センターを通じて,内外からの問い合わせに対応してきた。また,平成元年度から海外において「日本留学説明会」を実施しており,平成7年度には,東南アジア諸国,アメリカ合衆国等において行う。
また,留学生の入学選考については,(財)日本国際教育協会で「私費外国人留学生統一試験」及び「日本語能力試験」を実施し,各大学にその積極的活用を促している。さらに現在,留学を希望する者が母国で入学許可を得ることができる体制の整備を検討しているが,その一環として,平成7年度には,私費外国人留学生統一試験をマレーシア及びタイにおいて実施することとしている。
(2) 安定した生活基盤の確立
(ア) 国費・私費留学生に対する施策
国費留学生の受入れに関しては,平成7年度予算においても,新規受入れで前年度比 250人増の 3,945人分の予算を計上している。
私費留学生に対しては,従来から,学習奨励費の支給,授業料減免措置,優秀な私費留学生の国費留学生への採用,医療費の80%補助等の施策を実施している。また,平成7年度においては,戦後50周年を機に策定された「平和友好交流計画」の一事業として,「私費外国人留学生平和友好特別奨励費」が創設された。
(イ) 宿舎の安定的確保
文部省では国立大学に留学生宿舎の建設(平成6年度末までに70大学,計5,327 戸を整備)を進めている。そのほか,主な施策として一般学生寮への入居の促進,留学生宿舎建設事業を行う地方公共団体等に対する奨励金の交付,社員寮の提供事業を実施している財団法人に対する助成,(財)内外学生センターによる指定宿舎制度【用語解説】等を実施している。
(ウ) 大学等の受入れ体制の整備
文部省では,大学における指導援助体制の整備のため,国立大学に対して,留学生センター及び留学生課の設置をはじめとする人員・経費面での特別の措置を行っている。
一方,私立大学等に対しては,各大学等の受入れ留学生数等を考慮した私立大学等経常費補助金の特別補助を行っている。
(3) アフターケアの充実
帰国留学生が留学の成果を更に高め,母国において活躍できるように,専門誌・学会誌の送付,短期研修のための帰国留学生招聘(しょうへい)事業,研究支援のための指導教官の派遣等,帰国留学生の希望に応じて援助している。
3 海外留学援助体制の整備
(1) 海外留学の現状
我が国の学生で外国の大学等に留学する者が増加してきており,法務省出入国管理統計によれば,平成6年に「留学・研修・技術修得」の目的で海外に出国した日本人は15万
1,318人であり,対前年比11%の増となっている。その約8割が欧米諸国に出国している(図U−10−3 行先国(地域)別留学等状況(平成6年1月〜12月)
j。
(2) 海外留学に関する施策
文部省では,大学間交流の促進,国際的視野を有する教員の養成,地域研究者の養成等の観点から,国費による日本人学生の海外派遣制度を設けている。
また,外国政府等の奨学金により,毎年 400人程度の日本人学生等が留学しており,文部省は,その募集・選考に協力している。
このほか,海外留学の大半を占めるのは私費留学であり,文部省では,(財)日本国際教育協会の留学情報センターを通じて,留学希望者がそれぞれの目的に適した留学先の選択ができるよう,適切な留学情報の提供に努めている。同センターでは,外国の大学等への留学を希望する学生等のために「海外留学の手引き」を作成・配布している。
また,高校生の留学については,平成4年度に外国の高等学校へ3か月以上留学した者は 4,487人,海外学習旅行者(語学等の研修や国際交流を目的として,外国の高等学校等に3か月未満の旅行に出た者)は3万
2,288人となっている。文部省では,高校生留学の教育上の意義を考慮し,以前から関係機関に対し,安全で有意義な留学ができるよう指導・助言に努めてきた。4年4月には,「海外留学等斡旋(あっせん)プログラムに関する調査研究協力者会議」の報告を受けて,同年6月に高校生の海外留学等に関する団体により,「全国高校生留学・交流団体連絡協議会」が設立された。文部省では,この協議会が行う諸事業を支援している。
さらに,高校留学関係団体の責任者が一堂に会する「高校生留学等関係団体関係者研究協議会」の開催及び「高校生留学交流研究指定制度」について助成している。
一方,各都道府県教育委員会等の高校留学担当者による「高校生海外留学等推進担当者会議」の開催,「高校生海外留学等研究協力校」の指定等,高等学校における安全で円滑な海外留学の実施及び外国人留学生の円滑な受入れに資するための実践的な研究も行っている。
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第5節 世界に広がる日本語教育
1 日本語学習熱の高まり
近年,我が国の国際的地位の高まりや諸外国との国際交流の進展により,日本語学習者は海外で約162万人(平成5年国際交流基金調べ),国内で約8万3千人(平成6年11月文化庁調べ)に上っている(図U−10−4
日本語学習者の推移)。
ある言語を学ぶことは,その言語の話されている国及びその文化への関心を深め,ひいては国民相互間の友好を深めることにつながるものであり,我が国としても,国内外の日本語学習者の増大や学習目的の多様化等に対応した日本語教育の一層の拡充を図る必要がある。
2 日本語を学ぶ世界の人々に
(1) 日本語教員の養成と資質の向上
(ア) 日本語教員の養成機関
文化庁の調査によれば,平成5年11月現在,日本語教員養成課程・コース等は,国公私立の大学学部で84,大学院で16,短期大学で11となっており,これらの機関における受講者数は,1万
5,421人となっている。
さらに,大学以外の一般の日本語教員養成機関の数は 108,受講者数は 6,531人となっている。
(イ) 日本語教育能力検定試験の実施
この試験は,(財)日本国際教育協会により,日本語教育の知識・能力が,日本語教育の専門家として必要な水準に達しているかどうかを審査し,証明することを目的として実施されている(表U−10−5
日本語教育能力検定試験の結果)。
(ウ) 日本語教員の研修
国立国語研究所日本語教育センターにおいて,現職日本語教員を対象に専門的知識の充実を図るため,長期専門研修(10か月),日本語教育相互研修ネットワーク事業
i12か月)等を実施している。
(2) 日本語教授法・教材の研究開発等
関係機関において,以下のとおり日本語教授法・教材の研究開発等が積極的に進められている。
文部省 日本語教育研究協力校の指定
文化庁 日本語教育研究委嘱
日本語教員等による日本語教育研究協議会の開催
主な日本語教育実施機関の代表者等による連絡協議会の開催
大学留学生センター等
日本語教材の研究・開発
国立国語研究所日本語教育センター
日本語教育教材の作成・普及
現職教員対象日本語教育研修会の開催
日本語・日本語教育国際シンポジウムの開催
(3) 日本語教育施設の質的向上
日本語教育施設(いわゆる日本語学校)については,文部省が定めた「日本語教育施設の運営に関する基準」に基づき,(財)日本語教育振興協会が審査・認定事業を行っている。
同協会はこれまでに 563施設を認定したが, 198校が廃校等となり,平成7年3月末現在 365施設となっている。これらの施設の定員は約6万人であるが,在籍者は約2万人である。このような状況の中,同協会では6年8月以降の新規設置申請について,より厳密な経済的基礎を備えることを義務付けている。
また,同協会では,基準に適合した日本語教育施設を紹介する「日本語教育施設要覧」の作成,就学生の円滑な受入れの促進,日本語教材の研究開発等,日本語教育施設の質的向上を図るための諸事業を行っており,文部省では,これらの諸事業に対し助成している。
(4) 外国人日本語能力試験の実施
この試験は,(財)日本国際教育協会と国際交流基金が主催しており,国内の実施は(財)日本国際教育協会が,海外は現地関係機関の協力を得て国際交流基金が実施している。この試験は,1級(日本語学習時間
900時間程度)から4級(同 150時間程度)までの試験レベルに分かれており,1級の成績は,受験者の希望に応じて我が国の大学に通知され,各大学における私費外国人留学生の入学者選抜の際の資料として活用されている。
また,この試験は日本語学習者にとって自己の日本語能力を測定する上で極めて重要なものであり,その需要が増大していることを考慮し,実施回数の複数化,時期,方法等についての検討が進められている(図U−10−5
外国人日本語能力試験受験者数の推移)。
(5) インドシナ難民・中国からの帰国者に対する日本語教育
文部省では,昭和54年4月の閣議了解を受け,(財)アジア福祉教育財団に委託して,我が国に定住等を希望するインドシナ難民に対する4か月間の集中的な日本語教育を行うほか,定住後も日本語学習を継続している難民に対する教材の提供,日本語教師の派遣や通信教育等を実施し,社会生活に必要な日本語能力の維持向上を図っている。
また,中国からの帰国者への日本語教育について,文化庁では日本語教材及び指導参考書を作成し,帰国者及び日本語指導者に対して無償配布するとともに,指導者を対象とした研修会や研究協議会を開催している。
(6) 地域における日本語教育の推進
文化庁では,地域社会での外国人の急増に対応するため,モデル地域(4地域)を指定して,地域における日本語指導者養成のための講習会開催等の事業を実施している。
また,新たに平成7年度からモデル地域における日本語教育推進事業の成果を広く普及するために,都道府県・市町村の国際交流担当者等による地域日本語教育セミナ
[を開催する。
(7) 外国人児童生徒に対する日本語教育等
我が国に在留する外国人の数は,年々増加を続け,特に,南米からの日系人在留者が増加している。このような趨勢(すうせい)の下で,外国人子女の就学が増えており,平成5年9月には,日本語教育が必要な外国人児童生徒が公立小・中学校に
10,450人在籍している状況となっている。
このため,文部省では,日本語教材と教師用指導書を作成したほか,外国人児童生徒を受け入れている学校における日本語指導に対応する教員の加配,指導の在り方等について具体的な調査研究を行うための研究協力校の指定,巡回指導事業の実施などを行っている。
また,外国人家庭の地域への受入れと地域生活への適応を促すため,日本語能力が十分でない保護者等に対し,日本語学習の機会を提供する日本語適応教室の開設促進事業を,平成5年度から全国3地域で実施している。
(8) 海外における日本語教育への協力
文部省では,自治省及び地方公共団体と協力して「外国教育施設日本語指導教員派遣事業(REX計画)」を実施している(表U−10−6
REX計画による派遣状況 j。この事業は,海外における日本語教育に対する協力要請にこたえるとともに,我が国の学校教育の国際化と地域レベルの国際交流の促進を目的として,我が国の公立中・高等学校の若手教員を海外の中等教育施設に2年間派遣し,日本語教育や日本文化の紹介等を行うものである。
3 これからの日本語教育
今後,世界の中の日本として,各国,諸民族と友好的な関係を発展させていくには,今まで以上に我が国に関する情報の発信が求められており,なかでも日本人の思考の基礎となっている日本語について理解を深めてもらうための努力をする必要がある。
日本語教育については,従来,日本語学習者の増大に対応して,その基礎整備が進められてきたが,今後も,平成5年7月の日本語教育推進施策に関する調査研究協力者会議の報告や,6年6月の国際文化交流に関する懇談会の報告等を受けて,より一層の推進を図っていく必要がある。
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第6節 海外子女・帰国子女教育の充実
1 海外子女教育の充実
(1) 海外子女教育の現状
我が国の国際化の進展に伴い,海外に長期間滞在する義務教育段階の子どもの数は平成7年5月現在4万9,698人に達している。
これらの海外子女のために,世界各国に現地の日本人会等を設置主体として,日本人学校【用語解説】(平成7年9月現在91校)及び補習授業校【用語解説】(同
171校)が設置されている。そのほか,国内の学校法人等が設置する私立在外教育施設が,7年9月現在16校設置されている。
(2) 海外子女教育の充実
文部省では,日本人学校・補習授業校の教育の充実向上を図るため,国内の国公私立の義務教育諸学校の教員を派遣している(平成7年度
1,287人)。また,教育内容の充実のために,海外子女教育研究指定校の指定,校長研修会の開催を実施するとともに,義務教育教科書の無償配布,教材整備,通信教育等を行っている。さらに,国内外の教育情報を容易に入手できるようにするため,在外教育施設と国内関係機関との間をパソコン通信で結ぶ情報ネットワークの整備を進めている。
(3) 豊かな国際性を培う教育活動の推進
日本人学校等においては,海外における教育という特性を十分生かし,現地社会との交流を進め,異文化への理解を深めて,国際性豊かな日本人の育成を図っていくことが期待されている。このため,日本人学校等では,所在国の言語や歴史・地理など現地事情にかかわる指導を取り入れたり,運動会・音楽会等の諸行事を通じて現地校と交流を図るなど,現地の子どもとの交流の促進等に努めている。また,国際学級や日本語講座を設けるなどして,外国人の子どもを受け入れているところもある。
文部省は,日本人学校等における現地理解教育,交流活動等を一層推進するため,国際教育・文化交流推進校(平成7年度10校)を指定し,これらの活動の中核的役割を果たす専任の職員として,国際交流ディレクターを派遣している。さらに,平成7年6月にとりまとめられた海外子女教育に関する調査研究会の報告「日本人学校における教育の充実方策について」では,日本人学校における教育の基本的視点として,@一人一人の個性を生かす教育の推進,A現地社会と連携する特色豊かな教育の推進,B活気と魅力に満ちた学校づくりの推進,を掲げるとともに,日本人学校における教育を充実するための方策について提言している。文部省では本報告の趣旨を受けて,施策の一層の充実に取り組んでいる。
2 帰国子女教育の充実
(1) 帰国子女教育の現状と施策
平成6年度間に海外での長期間の滞在の後帰国した子どもの数は,小・中・高等学校段階合わせて約1万3,000人に達している。これらの帰国子女については,国内の学校生活への円滑な適応を図るとともに,海外で身に付けた特性を生かすようにすることが重要である。
そのため,文部省では,国立大学附属学校における帰国子女教育学級等の設置,帰国子女教育研究協力校・帰国子女教育受入れ推進地域の指定,帰国子女教育指導講習会の開催等の施策を行い,帰国子女受入れ体制の整備を図っている。また,帰国子女の海外での豊かな学習・生活体験を一層尊重する観点から,現地校等の教育に関する資料を作成するとともに,高等学校や大学の入学者選抜の際の特別選抜枠の設定や選抜方法の工夫などが更に多くの学校で行われるよう求めるなど,施策の充実に取り組んでいる。
(2) 中国帰国孤児子女教育の現状と施策
中国帰国孤児に同伴されて帰国する子どもは,日本語能力が不十分であったり,日本の生活習慣に通じていなかったりすることから,日本語指導や生活面・学習面での適応指導について,特別な配慮が必要である。このため,文部省では,中国帰国孤児子女教育研究協力校を指定して,中国帰国孤児子女の積極的な受入れ及び指導の充実を図るとともに,中国語のできる指導協力者の巡回派遣事業,日本語指導教材の作成配布,中国帰国孤児子女担当教員の研修会等を実施している。
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