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これからの評価の在り方と
横浜らしい「総合的な学習の時間」の評価

横浜市研究会からの提案

教育評価研究委員会では,「新よこはま教育プラン」を基に,教育課程編成委員会での検討内容を踏まえ,研究を進めてまいりました。今回は,「総合的な学習の時間」の評価を中心に,これからの評価の基本的な考え方を提案いたします。

1 これからの評価の基本的な考え力
(1)評価観の転換
「学び」の意味を自分で自分の生き方を切り拓いていく営みととらえるならば,生き方教育の、3つの柱の1つ,「自分の生き方を見つめる」営みである「評価」も学びの主体者によって当然行われなければなりません。
これからは,他者から「される」評価ではなくて,子ども自身が「する」評価へと評価観を転換することが必要です。「する」評価とは,子どもが自らを振り返り,進む方向を選択する評価です。したがって,「…でありたい」「…ができるようにしたい」「…になりたい」などのように自分自身で課題を設定し,その結果が満足のいくものであったかどうかも自らの判断で行われます。「学び」の主体者が子どもであるのですから,自分を振り返る評価の主体者も,子どもであるという考えに立つ必要があります。

(2)これからの教育評価の在り方
教師の評価も,評価のための評価で終わるのでなく,「子ども自身が自分を見つめ,向上しようとするための評価」という評価観への転換を図っていく必要があります。子ども自身が自らの学習過程を振り返り,新たな自分の課題をもって学習を進めていかれるように,自らの実現の状況を肯定的に評価できるように支援したり,子ども自身の「評価する力」をはぐくんでいったりすることが大切です。また,常に教師は指導を振り返り改善し,指導と評価の一体化を図っていく必要があります。このうにして,教師が学校で行われる「学び」である「学習」について行う評価が教育評価です。

(3)『生き方教育』の推進と評価
○基礎/基本と評価
生き方の教育では,自分で自分の生き方を切り拓くために必要なものを,「基礎・基本」と考え,それを「生き方の基礎・基本」「学び方の基礎・基本」「知識・技能の基礎・基本」の3つにとらえています。子どもは一人ひとりの生活体験,学習体験が異なり,興味・関心,資質や能力も異なるため,それらの基礎・基本は柔軟に弾力的にとらえていく必要があります。
「基礎・基本」には,教科等の「学習」で確実に身に付けさせたいと考える基礎・基本(学習指導要領の内容)と,子ども一人ひとりの生き方に応じて異なる基礎・基本があります。その評価は,それぞれの基礎・基本に応じて行う必要があります。

○学習の総合化と評価
総合化された学習の中では,子どもたちは3つの基礎・基本をそれぞれ独立して身に付けるのではなく,総合的に身に付けていきます。ですから,評価も,結果中心でなく学習の過程も重視し,また,評価の観点や評価機会,方法の多様化など総合的に評価する必要があります。
「学習の総合化」を図った学習活動には,「ア教科,道徳,特別活動の中で学習の総合化を図る」「イ各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間との関連で学習の総合化を図る」「ウ各教科,道徳,特別活動という枠組みにとらわれないで学習の総合化を図る(総合的な学習の時間)」があります。ア,イ,ウのどの学習活動でも,3つの基礎・基本の実現状況を総合的に評価していく必要があります。

○聞かれた学校と評価
評価は子どものよさや可能性を伸ばすことに大きなねらいがあり,自分の生き方を創っていく子どもたちのためにあります。子どもたち自身が,評価によって自分はどこをどう努力し工夫すれば,自分のよさや可能性を伸ばせるのかを理解しなければなりません。そのためには,評価方法や評価規準を子どもや保護者に明らかにすることや,子どもの成長を子ども自身と教師と保護者がともに見つめていこうとする「共につくる評価」が求められます。また,評価していく上での情報を,教師といっしょに指導に携わる地域の方々から得るなどの取組も考えていく必要があります。

2 横浜らしい「総台的な学習の時間」の評価
「総合的な学習の時間」では,「生き方の教育を推進する10の学習課題」を視点とし,特色ある教育活動を展開することを通して、子どもが成長課題の実現を図り,生き方を切り拓いていくことができるように,教科等の枠組みにとらわれない学習が行われます。そこで,教師が子どもたちの学習を評価するに当たっては,次の点を重視する必要があると考えます。

○ 特に「生き方の基礎・基本」「学び方の基礎・基本」の実現状況を評価する。
「総合的な学習の時間」での学習でも,3つの基礎・基本の実現を目指しますが,そのねらいから考え,特に「生さ方の基礎・基本」「学び方の基礎・基本」が中心になると考えられます。評価に当たっても,「23の観点別成長課題」などを手がかりに,「生き方の基礎・基本」「学び方の基礎・基本」の実現の状況を評価する必要があります。

O一人ひとりの学習の過程を評価する。
「総合的な学習の時間」の活動は,結果のよしあしより,結果を導き出していく過程が重視されます。学習の結果だけでなく,学習の過程の評価を一層重視することにより,子ども自らが設定した課題や学習計画の追究の過程を振り返り,評価し、改善を図っていくことができるようになると考えます。また,教師は子どもたちが結果にたどりつく過程にそって,一層細やかに指導の改善を図ることができます。

○多様な観点から肯定的,総台的に評価する
子ども一人ひとりが成長課題の実現を目指す多様な学習活動が考えられる「総合的な学習の時間」の評価では,一人一人のよさや進歩の状況を,多様な観点から総合的に評価していく必要があります。子ども自身が活動全体を振り返り,豊かに自己実現していくための自己評価や相互評価も重視していく必要があります。
また,子どもたちの自ら学習しようとする意欲をはぐくんでいくためには,その子のよさや可能性の伸長に目を向けた肯定的評価を重視していくことが大切です。

3 移行措置期間中の具体的な評価の記載について
あゆみや連絡票,学習記録簿などを通じて,子どもや保護者に伝えることが大切です。また,指導要録には評価結果を「指導上参考となる諸事項」の欄に文章記載をすることが適当であると考えます。

委員会配付資料 平成12年度

これからの評価について
日本標準研究所発行「移行措置Q&A」より

1.評価の基本的な考え方

教育課程審議会は12年秋に,新しい学習指導要領の下での「評価のあり方」について検討した結果を公表しました。そこでは,これからの評価の基本的な考え方を,次のようにまとめています。

・相対評価から「目標に準拠した評価(絶対評価)」にあらためる
基礎・基本の内容を確実に身につけ,「生きる力」がはぐくまれているかどうかをとらえるため,目標に照らしてその実現状況を見る「目標に準拠した評価(絶対評価)」が基本になります。

・個人内評価を重視する
自ら学ぶ意欲や問題解決能力,個性の伸長などを評価するため,個人内評価(児童一人ひとりのよい点や可能性,進歩の状況などの評価)を工夫することが強調されています。

・指導と評価の一体化を図る
評価は,学習の結果に対して行うだけでなく,学習指導の過程における評価の工夫が求められています。児童の学習の到達度を適切に評価し,評価活動を評価のための評価に終わらせることなく,指導の改善に生かすことが重要です。

・ 学習の過程における評価方法を工夫改善する
◆工夫改善のポイントとして以下の点が挙げられています。
・総括的な評価のほか,分析的な評価,記述的な評価の工夫
・学習後だけでなく,学習前や学習の過程での評価の工夫
・学期末や学年末のほか,単元ごと,時間ごとの評価の工夫
・ぺ一パーテストのほか,観察,面接,質問紙,作品,ノート,レポートなどを用いた評価の工夫
・自己評価や児童どうしの相互評価を生かした工夫
・保護者による評価,教育活動に協力した地域の人々による評価を参考にする。
※ポートフォリオ評価法
今、学習の過程を評価する方法として「ポートフォリオ評価法」がたいへん注目されています。
参照---「総合学習とポートフォリオ評価法」<日本標準刊>
※目標に準拠した評価
教育課程審議会は,「児童の学習の到達度を適切に評価することが重要である」としています。到達目標と評価基準の明確化がたいへん重要になってきます。

・児童や保護者に学習の評価を十分に説明する
評価が児童の学習の改善に生かされるように,日常的に児童や保護者に学習の評価を十分に説明していくことが大切です。

2.指導要録はどう変わるか

・評定は『目標に準拠した評価』に
指導要録の3年〜6年に設けられている評定は,現在,3段階の相対評価とされていますが,これを目標に準拠した評価(絶対評価)に改められることになります。

・国語の観点の改訂
国語の評価の観点が,新学習指導要領の領域構成の変更に対応して,「国語への関心・意欲・態度」「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」の5観点になります。

・『総合的な学習の時間」の評価
「総合的な学習の時間」については,各学校で学習活動と評価の観点を定めて,評価を文章記述することになります。

・所見欄の統合
児童の成長の状況を総合的にとらえる工夫ができるように,所見欄が統合されます。

・指導要録も開示の対象に
個人情報に対する関心の高まりなどから,指導要録も教育に関する個人情報の一つとして開示する方向が打ち出されています。

※ 指導要録の様式
教育課程審議会は指導要録の参考様式例を示しています。教育委員会などが,これを参考にしながら工夫して様式を定めることになります。

※ 現在の国語の観点
「国語への関心・意欲・態度」「表現の能力」「理解の能力」「言語についての知識・理解・技能」

3.学校は評価にどう取り組めばよいか
・基本的な考え方の共通理解
これまで,評価はともすると子どもたちを「値踏み」すること,テストの成績の点つけをすることと思われがちでした。しかし教育課程審議会がまとめた「基本的な考え方」は,このようなこれまでの評価観を転換しようとするものです。
評価の目的は,教育活動をふりかえって指導の改善に役立てることにあります。指導と評価の一体化を図るためには,目標に照らして子どもを見る「目標に準拠した評価」を基本にすることがたいへん重要になってきます。
このように,評価観の転換が求められているということを,学校内で共通理解することがまずは重要です。

・評価の方法や規準の研究
評価を充実させるためには,学校全体が評価についての力量を高め,評価の方法や規準を研究し,評価の改善を図ることが必要です。
各教科の評価方法については,ぺ一パーテストによる評価のほかに,児童のノート,レポートや作品などによる評価,教師による観察,面接や児童の自己評価,相互評価などがあります。
このような教科の特性や観点にふさわしい評価方法を適切に選択したり組み合わせたりするなどの工夫が大切です。

・児童や保護者への説明の工夫
学習の評価について,日常的に児童や保護者に説明し,共有していくことが大切です。また,どのような観点や規準で評価を行うのか,どのような方法で評価を行うのかといった学校としての評価の考え方や方針を,教育活動の計画とともにあらかじめ説明することも大切です。

・通信簿の研究
評価を児童や保護者に説明する方法の一つとして,特に通信簿についてはその役割が大きいといえます。
通信簿は,その扱いや様式を各学校の判断で決められるものですので,校内で検討を進め,児童にとってその後の学習に役立つものになるように,内容や方法,様式などについて改善していくことが重要です。

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