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総務庁のいじめ調査H10


小中学生のおよそ三人に一人がいじめに遭った経験を持つ一方、教師にいじめの相談をしても「何もしてくれなかった」との訴えが一四%に上った。総務庁が二十九日発表した「いじめ・登校拒否・校内暴力問題に関するアンケート調査」結果で、小学校や中学校でいじめや校内暴力が深刻化している実態が明らかになった。また、いじめられても「だれにも相談せず我慢した」との回答も目立ち、子供たちの孤独な日常生活を浮き彫りにした。総務庁は調査結果を踏まえ、夏をメドに改善策を検討するよう文部省に勧告する方針だ。

調査は九七年十月〜十一月に、全国の十八都道府県の公立小学校(五十八校)の四年生から公立中学校(百七校)の三年生までの児童・生徒、保護者、教師33323人を対象に実施した。有効回答率は92.3%だった。
学校でいじめられた経験があるかどうかを聞いたところ、「以前いじめられたことがある」と答えた小学生は31.1%、中学生は27.9%に達した。「この一年間に学校で友人から暴力を受けたことがある」は小学生で36.5%、中学生22.7%。「今いじめられている」は小学生5.3%、中学生で3.5%だった。
いじめに遭った時の対応では「親に相談した」が三

九・四%(小中学生の合計)で最も多かった。次いで「だれにも椙談しないで我慢した」が三七・八%、「先生に相談した」は二九・O%、「友達に相談した」は二六・五%だった。「我慢した」と答えた小中学生のうち四六・八%は「友達に助けてほしかった」と答えており、「気軽に相談できる先生がいてほしかった」も26.7%に上った。
いじめている側の小中学生に「いじめをしていることを先生や親、クラスの人は知っているか」と聞いたところ、「クラスの人は知っている」が71.1%に達した一方、「教師は知らない」は51.1%、「親は知らない」は60.3%を占め、教師や保護者がいじめの実態を把握できていないことが分かった。
さらに、いじめに遭った小中学生に「教師にいじめられたことを相談した時、どうしてくれたか」と聞いたところ、「いじめる人に注意した」が62.6%と最も多かったが、「何もしてくれなかった」も14.0%を占めた。保護者の19.3%も「学校側は対応してくれなかった」と回答しており、教師や学校側の対応への不満が目立っている。

家庭教育評論家の品川孝子さんの話
いじめに関する調査はよく行われているが、気になるのはいじめという一つの結果だけをとらえていることだ。子供が属している交友環境がどうなっているかを見ないと、本質は見えてこない。学校の先生は子供を単にいじめたとかいじめないとかだけでなく、集団の中でその子がどのような位置にいるかを見なくてはならない。子供の交友関係を把握するには、好きな友達、嫌いな友達などを線で結んで作るソシオメトリーと呼ばれる図を作ればはっきりする。いじめられている子供がクラスのボスにだけ嫌われているのか、集団の中で孤立しているのかということなどがわかり、どのように子供に働きかければ良いのかわかってくる。
いじめをだれにも相談せず我慢したという子供が多いのは、今の子供は友達と濃密な付き合いをせず、ある意味で人を信用していないからではないか。だから人の気持ちもわからない。「学校は勉強を教えるところ」と考える人が多いが、集団の中で生きていく知恵や強さ、人の気持ちをみる敏感さをはぐくむところであるべきだ。先生はもっと「社会で生きていく人間をつくっている」という意識を持って、積極的に子供や親に働きかけていってほしい。

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1998/4/30/木 朝刊