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パソコンの子供向け学習システム


子供を学習塾に通わせるかどうかは親にとって重大な問題だ。費用、送り迎えなど負担も少なくない。そんな家庭に向けて相次いで登場しているのが、パソコンを使った子供向けの学習システム。メールを送れば講師から問題の解き方や助言が返ってくるなど、子供を飽きさせない工夫を凝らしでいる。

「勉強がとっても楽しくなりました」。東京都内の中学二年生、前田知佐さん(14)は九月末から、毎日二時間をパソコンを使った通信学習に費やしている。セコムラインズ(東京・三鷹)が九月に始めた学習サービス「ラインズ先生電塾」。CDーROMとインターネット上のホームページを使った、パソコン上の学習塾のような仕組みだ。数学では画面に方程式が現れ「X」「y」などの変数にあてはまる数字を四つの選択肢から選んでクリック。正解なら大きな丸印が、間違いだとヒントの画面が出てくる。

学習の進み具合や正答率などの成績もその場で分かる。どの分野でどんな種類の問題につまずいたかをデータとして蓄積、復習時に弱い分野の問題を集中して出題する。知佐さんが一番気に入っているのは、講師に電子メールで質問すれば二十四時間以内に答えてくれること。ホームページ上にある講師の自己紹介、その講師の繁忙度などの情報を見て、好みの講師にメールを送る。「しょっちゅうメールを書いています」
ホームページの掲示板には「メール友達」募集の欄がある。知佐さんは京都の同学年生とメール交換を始めた。母親用の掲示板もあり、知佐さんの母親、和気子さんも何度かメールを書いた。夜遅く塾へ通わずにすむので両親は安心だ。知佐さんは夏までは週に一回、学習塾へ通っていた。受験を前に回数を増やすことも考えたが「周りのお子さんを見ていると帰宅は午後十時過ぎ。送り迎えも大変で、どうしようかと頭を抱えていた」と振り返る。
費用面でも「塾だと一教科一万九千円程度かかったけれど、今は五教科で一万二千五百円と若干の通信費だけですみます。週一回の塾もやめ、家計にも貢献しています」。
小学館は人気キャラクター「ドラえもん」を使った小学生向けの「ドラネット」を十一月に始めた。英語、算数、漢字、作文読解の四教科があるが、学年別には分けていない。教材はCDーROMが中心。ネットでは算数パスルやゲーム方式の文章教室など、遊びの要素を取り入れた。

学研も十一月からCDーROM教材とホームページを組み合わせた「Vメイト」の小六、中一向けコースを提供している。ホームページから定期試験の予想問題や全国順位が分かるドリルなどの教材を手に入れることができる。ただし添削など双方向のサービスはない。来年には小三から中三まで対象を広げる。
通信教育最大手のベネッセコーポレーションも「進研ゼミ」をネットに展開。九九年春に中学二年生向けのサービスを始める。中学、高校全学年向けに順次広げる予定だ。生徒が課題への回答を郵送してから添削結果が返ってくるまで二、三週間かかっていたが、ネット版では生徒の好きなときにメールを送ると二日以内に講師が助言するようにする。定期試験の範囲や日程をメールで伝えると、個別に対策問題をメールで送り返すサービスも予定している。各社とも学習機能だけでなく、会員同土でメール交換やホームページ閲覧ができるなど、インターネットヘの窓口としての機能を備えている。

新規参入が相次いでいる背景には、教育産業界がネットの利用を成長分野として位置付けていることがある。少子化が進む中で、きめ細かく対応できるネット教育事業は数少ない手つかずの市場。ベネッセにとっても「既存会員の満足度を高め、つなぎとめる新サービス」だ。
それでは、ネット通信教育は学習塾を脅かす存在になるだろうか。塾の長所は、その場で一定時間、強制的にでも机に向かわせることにある。親は取りあえず安心できる。
一方、ネット学習では、勉強しているのか遊んでいるのか分からないかもしれない。ただ、やりとりに時間がかかる従来の通信教育に飽き足らなかった子供には朗報といえそうだ。学校以外での学習方法の、一つの選択肢として定着する可能性は大きい。

(ウイークエンド編集部 長田 美穂)

1998/11/28/土