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ストレスでいじめ誘発

「成績」「友人」2大要因

2001年2月23日(金曜日)

日豪で小中学生調査


ストレスを感じている子どもほどいじめに走る傾向が強いことが、国立教育政策研究所の調査で分かった。ストレスの二大要因は「成績」と「友人関係」で、競争意識の高い子ほどストレスを感じやすいことも分かった。調査には、日本同様いじめに悩む豪州の専門家らも参加。今後の生徒指導を考える際の、資料として注目されそうだ。


性格より状況が影響
調査の中心になったのは、滝充・生徒指導研究センター総括研究官。子どもの心理・身体状態や日常生活を尋ねる「ストレス・チェック・リスト」を開発し、九七年十二月以降、首都圏や九州、北海道の小中高で年二回の継続調査をしてきた。
今回の中間報告では首都圏の小中学生約五千五百人を対象にした二〇〇〇年六月のデータを中心に分析した。それによると、その学期中に「仲間外れ、無視、陰口」という、いじめる側に立った子どもは小中学生いずれも半数前後おり、男子より女子、小学校より中学校のほうが多かった。
このいじめ経験の有無と、チェックリストから推定した攻撃的ストレスの数値との間には、高い相関関係があった。一方、九八年〜二〇〇〇年の計六回の調査で継続して「いじめ経験がある」と答えた中学生は一三・五%だけ。
「同じ子どもがいじめをしたりしなかったりする。いじめ防止を考える際には、『乱暴』といった性格より、状況からくるストレスを考えるべき」(滝研究官)という。

教師・家庭の役割重く
この調査は、豪フリンダース大学の協力のもと、二〇〇〇年八-十二月、オドストラリア・アデレード近郊の小中学生約二干二百人にも行われた。いじめは女子より男子で多かったものの、日本同様いじめが日常的に起き、ストレスとの相関関係も高かった。
ただ、何がストレスの原因かは、微妙な違いが出た。両国とも二大要因は「悪口を言われた」などの「友人関係」と、「テストの点数が悪かった」などの「成績」だ。
しかし、日本では豪州に比べ、「教師」「家庭」もストレスの多寡に与える影響が強かった。滝研究官は「日本では家庭で『勉強』『勉強』と言われるからではないか。また豪州では、教師に相手にされなくてもあまりストレスに感じないよう。日本で開発したチェックリストが豪州になじまなかった面もあるが、それだけ日本は子どもたちの教師に対する期待が高いともいえる」と分析する。

競争意識高いほど…
成績や友人がストレスの要因であることが分かったが、「勉強ができればストレスがない」とは限らないことも明らかになった。「世の中、成績が悪いと惨めだ」と考える競争意識の強い生徒は、成績がよくても比較的ストレスが高く、成績は悪いが競争意識は低い生徒とほぼ同水準だった。
「ストレスそれ自体は、かえってやる気を起こさせるなどプラス面もあり、ストレス即いじめ、ではない。しかし、九十五点とっても『なぜ百点じゃないのか』と言われる状況下ではマイナス面が出がち。成績のよい子、普段はいい子、だから大丈夫、ではなく、子どもの様子をよく観察するとともに、周囲も意識を変える必要がある」(滝研究官)という。
調査票は子どものプライバシーを守るため、記入後すぐに封をし、担任の教師も見ていない。調査協力先の一つ、茨城県竜ケ崎市では、調査結果を学年別男女別の全体集計のかたちで各学校に還元。日々の授業や生徒会活動、相談窓口の設置などに生かしている。
市教育センターの荒木隆史所長は「いじめなどの問題は、個々の先生に任せるのでなく、学校、学年全体の問題としてとらえるのが不可欠。客観的なデータが示されることで、各校が自らの実情に合わせた対策を考えるのに役立っている。さらにどのような活用が可能か、検討していきたい」と話している。