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平成11年11月25日    問い合わせ先
政 策 報 道 室      生活文化局女性青少年部青少年課
生 活 文 化 局      心の東京革命推進担当
福   祉   局      電話 03−5388−3064
衛   生   局
教   育   庁

「心の東京革命」推進に向けた取組方向素案について

I『「心の東京革命」推進に向けた取組方向素案 』 の位置づけ

石原東京都知事は就任後の施政方針で、子どもを健全に育成していくために「心の東京革命」を進めていくことを表明した。
今回発表した『「心の東京革命」推進に向けた取組方向素案』(以下「素案」という。)は、この「心の東京革命」の意味づけを明確にしたうえで、社会全体でこの取組を進めていくためになすべきこと等を問いかけ、政策化を図るための中間の書である。

II 「素案」のポイント
1) 「心の東京革命」が何を目指すのかを明らかにしたこと。
「次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任をもって正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく」
2) 東京都が全国の先駆けとなって、この取組を開始することを宣言したこと。そのために家庭、学校、地域、行政等の社会全体が何をなすべきかを提示したこと。
3) 広く議論を巻き起こすためのたたき台であり、都民や区市町村等に対する提案の書であること。

III 今後の進め方
本「素案」に対する意見・提案を集約し、平成12年6月を目途に、東京都としての取組方針及び行動案を策定する。

『「心の東京革命」推進に向けた取組方向素案 』 の概略


1 「心の東京革命」の趣旨
(1) 「心の東京革命」とは
「基本的ルール」を守れない子どもたちの増加は、価値バランスが崩壊した社会の反映であり、大人自身がその責任を自覚し、子どもたちを育てていく必要がある。
「心の東京革命」は、次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任をもって正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取組である。東京都は全国の先駆けとなって、この取組を開始する。

(2) 子どもをめぐる問題の現状と背景
基本的マナーが守れない子ども、思いやりや我慢が欠ける子どもや、援助交際などの問題・逸脱行動の要因として、1)子どもたちの自己中心的な傾向、規範意識や他者を思いやる気持ちの欠如、2)耐性や言葉による問題解決能力が未成熟、3)自尊感情の欠如ということがある。
問題の背景には、1)少子化の進展、2)情報化の進展、3)物質的な豊かさと都市化の進展、4)個人主義、平等主義のはき違えた認識による弊害がある。
こうした環境の変化により、家庭での教育力、学校での教育力、地域等の教育力が低下している。

2 「心の東京革命」推進にあたっての基本的考え方
(1) 子どもの育成の方向

家庭、学校、地域など社会全体が、次に掲げるような子どもの育成に向けた取組を行うことを通して、「基本的ルール」を守り共に生きる心を育んでいく。
1)社会の「きまり」や人との約束を守るよう育成する
2)思いやりをもつよう育成する
3)自らを律することができるよう育成する
4)責任感、正義感をもつよう育成する
5)人々や社会のために役立つことに喜びを見いだすよう育成する

(2) 「心の東京革命」に取り組む4つの原則
1)親と大人が責任を持つ(親も大人も、その行動が子どもに大きな影響を与えることを自覚し、責任をもって取り組む。)
2)社会全体で取り組んでいく(子どもを「社会の子」と捉え、子どもに影響力のあるマスコミや企業も含め、広く社会全体として取り組む。)
3)幼児期からのしつけを重視する(幼児期から親が責任をもって基本的な生活習慣を身につけさせ、しつけ、人とかかわる力の基礎を育てる。)
4)多くの体験・経験を重ねさせていく(体験・経験を積み重ねさせ、さまざまな知識・ノウハウと他人とかかわる喜び・厳しさを会得させる。)

3 「心の東京革命」の具体的展開
前述の4原則を踏まえ、家庭、学校、地域、そして社会全体が「心の東京革命」を進めていけるよう、施策展開の基本的考え方を示すとともに、具体的施策の例を提示した。
1)家庭のしつけ・教育力の強化
幼児期の子どもをもつ母親への意識啓発の重点的な実施、等
【施策の例:テレビによる育児・しつけ教室、子育てマニュアルの作成等】
2)学校における心の教育の充実
「心の教育」や地域の人びとの協力も得た体験学習などの推進、等
【施策の例:職場体験や奉仕活動等の体験活動推進(トライ&チャレンジふれあいキャンペーン)等】
3)地域における教育力の強化
異年齢の子どもや他の親子、お年寄りとふれあう場や機会の創出、ネットワークづくりなどへの支援、等【施策の例:親子ふれあいキャンペーン、親子で自然体験、等】
4)大人の意識啓発と社会環境の改善
社会全体が子どものしつけや健全育成のための環境づくりに取り組めるよう、意識啓発や条件整備を行っていく。企業や事業者に対しても、協調した行動を呼びかける
【施策の例:心の東京革命キャンペーンの展開等】

・標語を用いた運動の展開「“心の東京ルール”の作成」
(心の東京ルール案)[心の東京革命 − 7つの呼びかけ]
○毎日きちんとあいさつさせよう
○他人の子どもも叱ろう
○子どもに手伝いをさせよう
○ねだる子どもにがまんをさせよう
○先人や目上の人を敬う心を育てよう
○体験の中で子どもをきたえよう
○子どもにその日のことを報告させよう

《推進体制の整備》
都民や関係者等の意見を踏まえた“心の東京革命”取組方針及び行動案の策定、区市町村や関係団体の参加も得た「心の東京革命推進会議」の設置、等

「心の東京革命」推進に向けた取組方向素案


平成11年11月

東   京   都


将来とは現在(いま)である

東京都知事 石原慎太郎


最近の子どもたちの心の問題は深刻です。
非行の増加や低年齢化も心配ですが、自己中心的で集団や社会のルールを守れない子どもたちの増加は、人としての生き方の基本にかかわる問題であります。
家庭のしつけや学校教育のあり方が指摘されていますが、基本的には、物的な豊かさの追求に目を奪われ心の問題をないがしろにしてきた戦後社会のありようが問われているのです。
「モノで栄えてココロで滅びる」という言葉がありますが、まさに今、それが現実の問題となっているのです。
私がこのたび「心の東京革命」を提唱するのは、子どもたちが社会を生きていく上での基本的な心得さえも失いつつある危機的状況をいかに克服していくか、その取組の必要性を父親、母親ひいては社会全体に問いかけたいと思うからに他なりません。
本書は、「心の東京革命」を推進するにあたって、東京都としての現状認識とその改善に向けた取組方向を、素案としてまとめたものです。家庭をはじめ、学校、地域への議論の素材として発表するものであって、それだけに率直に問いかけを行ったつもりです。これから半年余をかけ、都民からの意見や要望をよくお聞きした上で、来年6月には基本方針及び行動案として取りまとめていきます。
このような取組を通じて、「心の東京革命」を都民と一体になった社会的ムーブメントとして展開していきたいと考えています。
この素案をご覧になって、いかにもわかりきったこと書いていると思われる方も多いでしょうが、わかりきったことをしていないということが現在の危機であり、このような現実を変えることが私たちの責務なのです。
米国の文化人類学者マーガレット・ミードは「将来とは現在(いま)である」と警告しています。今のまま何も手を打たないでいては、次世代を担う子どもたちと社会の将来は、危ういものとなってしまいます。
この書を契機として、大いなる議論が巻き起こることを期待しています。

平成11年11月


(目 次)


1 「心の東京革命」の趣旨
(1) 「心の東京革命」とは
(2) 子どもをめぐる問題の現状と背景

2 「心の東京革命」推進にあたっての基本的考え方
(1) 子どもの育成の方向
(2) 「心の東京革命」に取り組む4つの原則

3 「心の東京革命」の具体的展開

[資料編]

 資料1 施策の体系像
 資料2 都民生活に関する世論調査(抜粋)(省略)
 資料3 東京都子ども基本調査報告書(抜粋)(省略)
 資料4 東京の子どもと家庭(東京都社会福祉基礎調査)(抜粋)(省略)

1 「心の東京革命」の趣旨

(1) 「心の東京革命」とは

(社会における価値バランスの崩壊)
戦後、わが国は生活の豊かさを求め、大きな経済的発展をとげてきました。しかしその一方で、自分の利害に関わることのみに関心を持ち、共同体としての社会を維持していく上で個々人が果たすべき役割や責任というものを軽視する自己中心主義の生き方がまん延しています。精神的な価値よりも金銭的・物的価値を求め、社会的責任よりも権利意識が優先するなど、社会における価値のバランスが崩れています。
このような戦後の意識構造の歪みは、子どもたちの態度や行動に反映しています。倫理観を失った青少年の問題行動だけでなく、社会における「基本的ルール」を守れない子どもたちの増加といった、危惧すべき現象が現れています。
21世紀を展望するにあたって私たちは、このような状況を克服し、個々人の多様な価値観や生き方を尊重しながら自立した個人として社会のために主体的に貢献し、共に協働して生きる社会を実現していかなければなりません。

(「心の東京革命」とは)
このため私たち大人は、自らの生き方を改めて見直すとともに、未来を支えていくべき子どもたちに対し、どのような社会にあってもその歴史と経験の中で培われてきた規範や礼儀などの「基本的ルール」があること、そして、社会なくして「私」がなく、人は社会に積極的に関わる役割と責任があることを、自らの行動を通して教えていかなければなりません。
21世紀のグローバル社会のなかで日本社会の発展を期するには、自主的、自立的であるとともに優れた知性と豊かな発想力・創造性をもった人材の育成が必要です。しかしながら、まず何よりも根本的な問題は、社会の一員として必要とされる「心」をもった人間として子どもたちを育てていくことです。
東京には、戦後日本の発展とその歪みが象徴的に現れています。東京は、日本人の心を測るバロメーターであるとも言えます。このことから東京都は、大人自身がその責任を自覚し東京の子どもたちを育成していくよう、その取組を開始します。「心の東京革命」は、次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任をもって正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取組です。

(2) 子どもをめぐる問題の現状と背景

(問題の現状)
今のわが国の子どもたちは、総じて物質的に恵まれた環境の中で育てられています。また、十代の頃からボランティア活動に自主的に参加するなど地道な社会活動への取組も目立っており、優れた感覚や身体的能力をスポーツや音楽、芸術などの分野で発揮し、世界を舞台に活躍する者もいます。
しかしながらその一方で、あたりまえのあいさつや公共の場での基本的マナーを守ることもできない子どもたちが増加しています。良好な人間関係を築けず、相手を思いやって行動することが苦手であったり、自虐的であったり、我慢ができず衝動的に他を傷つけたりする子どもも増えています。また学校においては不登校やいじめ、小学校低学年にまで及ぶ学級崩壊といった問題も生じています。
さらには、中学生のナイフによる殺傷事件に象徴されるような非行の低年齢化、凶悪化の傾向や薬物の乱用、女子中高校生による、いわゆる援助交際などの性の商品化も大きな問題となっています。

こうした問題・逸脱行動の要因として次のことが指摘されています。
1) 広く子どもたちの間に自己中心的な傾向がみられ、社会生活を営む上で必要な規範意識や、他者を思いやる気持ちが欠如していること
2) 欲望や衝動を抑制する耐性や言葉による問題解決能力が未成熟であること
3) 小さい頃から自分自身を大切に思う自尊感情の欠如がみられること
そしてこれらが、問題行動の要因であるばかりでなく、子どもたちの自立や社会性を育む上でも大きなネックとなっています。

◇ちょっとデータ◇
 ”最近の子どもは「自己中心的」”
 最近の子どもに対して持つイメージ
  第一位「自己中心的」(51.8%)
  第二位「自分の行動に責任を持たない」(35.2%)
   〃 「忍耐力がない」(35.2%)
     (平成11年「都民生活に関する世論調査」)

(問題の背景)
人の生活や行動様式と社会のあり方についての意識・価値観は、時代の変化とともに変わっていきます。特に変化の激しい時代にあっては、ジェネレーション・ギャップともいわれるような世代間での意識、行動、価値観の相違が生じることは、ある意味で当然です。しかしながら、子どもをめぐる今日の危機的状況は、単にジェネレーション・ギャップとして片づけることはできない問題です。その背景にあるのは、近年の少子化、情報化、都市化の進展などの社会環境の変化が成長過程にある子どもたちに与える様々な影響です。

第一の背景は、少子化の進展です。
少子化は、きょうだい数の減少や一人っ子の増加という形で現れます。家族は、子どもが成長する過程で最初に出会う他者であり、子どもはまず親やきょうだいとのふれあいの中で、人との接し方、思いやりの心などを身につけていきます。少子化は、子どものこうした機会を減少させています。また少子化のなかでみられる、子どもたちへの過保護や過干渉、「お受験」と揶揄されるような受験競争の低年齢化などは、豊かな人間性の発達を阻害しています。
かつて子どもたちは、地域の中で様々な行事などを通じて社会のありようや人間関係、基本的なルールなどを自然に身につけていきました。地域における子ども数の減少は、地域における同世代、異年齢の人々との日常的な交流を通してこのようなことを学んでいく機会を少なくしています。

◇ちょっとデータ◇
 ”都内小学校3年生の9割が塾通いをしている”
     (平成10年「東京都子ども基本調査」)

第二の背景として、情報化があげられます。
現在、子どもたちはテレビゲーム、携帯電話、インターネットなど、高度情報化技術によりもたらされた多様で便利なメディア空間のなかで暮らしています。子どもはこれらを活用して、他者と直接的に関わることなく遊びを楽しみ、仲間と交流し、新たな情報、知識を獲得するなどの可能性を手にしています。
他方で、こうしたメディアによる情報の氾濫、疑似体験の増加は、子どもが成長する過程で欠くことのできない、人との直接的なふれあいを通じての人格形成の機会や実体験を通じて物事を考えたりする機会を少なくしています。

 第三に物質的な豊かさの享受と都市化の進展です。
戦後50余年、高度経済成長期を経て私たちの生活は、総じて豊かになっています。小学生の頃から個室を与えられ、テレビも各自1台といった家庭もまれではなくなっています。このように現代の子どもの多くは、生まれたときから物質的に恵まれた環境のなかで成長してきています。また都市化の進展のなかで、子どもが自然にふれあう機会が少なくなるとともに、身近な遊び場が減少し、子どもたちが集団で遊ぶこともほとんどみられなくなっています。
こうしたなかで、小さい時から子どもたちは、物を得るための苦労、我慢、創意工夫をするなどの経験が乏しくなっています。このことは、子どもたちの積極性や生きる力を失わせ、努力して目標を達成するという喜びを減少させています。

◇ちょっとデータ◇
 ”子ども部屋として「個室」を与えられている子どもの率”
   小学校5年生で31.2%、中学校2年生で43.4%
     (平成9年「東京都社会福祉基礎調査」)

さらに第四の背景として、戦後における個人主義、平等主義のはき違えた認識による弊害があげられます。
個人主義の誤解に起因する自己中心主義は、現代社会の一般的風潮として、「社会全体や他人のことを考えずに自分の利害得失を優先」、「他人への責任転嫁」といった状況をもたらしています。また現代では、かつてあった親の権威、教師の権威が失われ、親と子、先生と生徒、大人と子どもとの関係が、それぞれの立場をわきまえることなく対等なものとなっています。子どもと親や教師との関係をけじめもつけず、友だち同士のような感覚で捉えたりする現象は、行き過ぎた平等意識がもたらした弊害であるともいえます。現代社会におけるこのような意識構造は、子どもたちに大きな影響を与えています。

☆先人から一言☆
 「個人主義は個人を尊重する。自分を尊重すると同時にまた他人も尊重する。自分の権利これまた
他人の権利である。他人の権利侵害されることは、わが権利の侵害せらるることである。」
    内村鑑三「聖書之研究」から

(教育力の低下とそれを助長する社会風潮)
こうした社会環境の変化は、子どもたちへの直接的な影響だけでなく、子どもの育成に関わる人々や家庭、学校、地域の教育力の低下をもたらしています。

1)家庭での教育力の低下
家庭は、子どもにとって最も大切な居場所であり、しつけを中心とする幼児期の教育の重要な場です。しかし、このように重要な役割を果たすべき家庭において親の教育力が低下しています。
核家族化により親から子へ子育ての知恵が伝承されず、また都市化により地域における家庭の孤立化が進んでいます。他方では様々な育児情報が氾濫しており、親自身が子どもの教育に対する自信と力を失っています。孤独な子育てによる育児不安やストレスに悩まされている母親たち、その一方で、子どもが規範意識を身につけるのに重要な役割を担うべき父親は、その存在感が薄れています。また、「自分の親」から自立できていない未熟な親や、子離れできない親も少なくありません。
子どもをどのような人間として育てていくのかという確固たる考え方をもたず、子どもをペット化したり、私物化したり、放任したりする親・家族。子どものしつけに無関心であったり、学校や他人任せにする無責任な親。さらには、育児放棄・児童虐待に走る親の出現や家庭内暴力など、家庭における教育の危機的状況が発生しています。

☆先人から一言☆
 「日本では礼儀作法が学ばれ、細心の注意を持って履行されるのは、まさに家庭においてである。
母親は嬰児を背中に背負って歩いているうちから、自分の手で嬰児の頭を下げさせてお辞儀をすることを教える」
    ルース・ベネディクト「菊と刀」から

◇ちょっとデータ◇
 ”子育てにストレスを感じる母親たち”
  約65%の母親は「子どもの世話のこと」でストレスを感じており、年齢が若いほどその率は多
 くなっています。(日頃「子どもの世話のこと」で悩みやストレスを感じることが「よくある」
 17.4% 「ときどきある」47.2%)
     (平成9年「東京都社会福祉基礎調査」)
 ”子どもに基本的なことをさせていない母親たち”
  「毎日決まった手伝いをさせる」母親は、約2割
  「身の回りの掃除や整理は自分でさせる」母親は、約3割
     (平成10年「東京都子ども基本調査」)

2)学校での教育力の低下
学校は、知識教育の場だけでなく、子どもたちが集団生活でのノウハウやルールを体得する上で重要な場です。しかしながら、戦後の学校教育においては、学歴主義や知育偏重を反映して知識詰め込み型の教育が中心となり、心の教育というものが軽視されてきました。また、一斉画一的な指導は、子どもの発達段階や個性に応じられず、児童・生徒一人ひとりに豊かな社会性を育む機会の不足をもたらしています。さらに、誤った平等主義は、教師と生徒は対等というような風潮を生み、教師の指導力を低下させました。
地域社会との関係においても、都市化等がもたらす住民の流動化や親の意識変化もあり、また学校側がその閉鎖的体質を改善する努力不足もあって、学校と地域が一体となって子どもを育てていくという協力関係が薄れています。
このような学校の教育力の低下は、家庭の教育力の低下と相まって、不登校、いじめ、学級崩壊といった現象の一因となっています。

◇ちょっとデータ◇
 ”中学生になると学校嫌いが増える”
  都の調査によると、学校に「いやいや」「しかたなく」「なんとなく」通っているとの回答が、
 小学校5年生では8.8%ですが、中学2年生では21.9%と増えています。
     (平成9年「東京都社会福祉基礎調査」)
 ”小中学生の不登校が増えている背景”
  「先輩や友達などとうまくつきあえない子どもが増えた」(36.7%)
  「過保護な親が増えた」(27.8%)
  「教師とのコミュニケーションが欠如」(25.9%)
  「子どもにとって学校が居心地のよい場所ではなくなってきている」(25.9%)
     (平成11年「都民生活に関する世論調査」)

3)地域の教育力の低下
地域社会は、家庭や学校等も含んだ、子どもの主要な生活圏であり、遊びや地域のさまざまな人々とのとのふれあいを通じて社会性を身につける重要な場です。しかし、都市化の進展による地域社会での人間関係の希薄化、少子化による地域での子ども数の減少、テレビゲームの普及や過度の塾通い等は、子どもが地域の人々と接する機会を失わせています。
このように伝統的な地域コミュニティが衰退する一方、交通手段やコミュニケーション手段の発達により、子ども達の行動範囲は従来の地域観念を超えて広がっており、地域のなかで子どもたち一人ひとりの「顔」がみえなくなっています。
ガキ大将を中心に遊んだり、けんかしたりすること、近くのおじさんなどから気軽に声をかけられたり叱られたり教わったりすること、大人の働いている姿や大人同士のつきあい方を見ることができなくなっているなど、地域での教育力の低下がみられます。

◇ちょっとデータ◇
 ”テレビゲーム浸りの子どもたち”
  毎日自宅でテレビゲーム
   小学5年生の23.3%
   中学2年生の20.1%
  「たまにしている」を合わせると
   小5で7割、中2で6割
     (平成9年「東京都社会福祉基礎調査」)
 ”近所の子どもを叱りますか”
  「近所の家の子どもが悪いことをしているのを目撃したとき」
   「叱ったり注意したりする」62.7%
   「注意したいが隣近所のつきあいもあるので我慢する」12.7%
   「かかわりたくないので何もしない」10.1%
     (平成11年「都民生活に関する世論調査」)

4)教育力低下を助長する社会風潮
さらに、こうした教育力の低下に反比例して子どもたちに強い影響を与えているのが、売れ行きを最優先したマスメディア等による享楽的な情報の氾濫であり、一部の営利至上主義的な企業行動です。
子どもが日常的に見たり手にしたりするテレビ、ビデオ、雑誌やインターネットのホームページなどの中には露骨に性を描くもの、暴力への関心を助長するものも少なくありません。また、このような出版物や酒・たばこを未成年者が簡単に手に入れられる環境や、売らんがためだけの言葉や流行をあおりたてるコマーシャリズムがあふれています。
こうした状況が、広く社会全体に物質的な欲望や刹那的な快楽を優先させる風潮をもたらし、子どもの心の荒廃に拍車をかけています。

◇ちょっとデータ◇
 ”援助交際が増えている背景としてはどのようなことがあるか”
  第一位 「道徳心やモラルを欠いた大人が増えている」(36.3%)
  第二位 「ブランド品の購入など、自分のこづかいでまかなえないような生活に慣れてしまった」
      (33.9%)
     (平成11年「都民生活に関する世論調査」)

2 「心の東京革命」推進にあたっての基本的考え方
(1) 子どもの育成の方向
人は、一人では生きてはいけません。社会の維持と発展があってこそ、総体的な個人の生活の豊かさが保障され、また、その一方で、自立した個人によって社会の維持と発展が支えられていくものです。子どもは成長の過程を通し、様々な経験のなかで自己と他者との違いを認識し、自分を抑えつつ他人とのより良い関係の仕方を身につけていきます。大人は、社会と個人の関係を正しく認識し、子どもたちに教えていく必要があります。
このことを踏まえ、子どもたちに身につけさせるべきこと、即ち具体的な子どもの育成の方向を、以下の5項目として掲げました。「心の東京革命」は、このような子どもの育成に向けた取組を家庭、学校、地域など社会全体が行うことを通して、「基本的ルール」を守り共に生きる心を育んでいきます。

1)社会の「きまり」や人との約束を守るよう育成する
皆で決めた「きまり」や約束を守ることは、人との信頼関係を築き、維持するための基本です。
人と人との信頼関係を築くことは、他人のためだけでなく、社会集団の中で自分自身が認められ、心の安定感をもたらすことになります。
規律・モラルを守ろうとすることは人間らしく生きていく上で欠くことのできないことである、ということを教えていかなければなりません。

2)思いやりをもつよう育成する
社会は、自分とは異なる立場にあったり、様々な価値観をもつ人々で成り立っています。多様な人々と共に生きるためには、自分のことだけでなく、他人のことにも心をかけられるようにならなくてはいけません。
人の意見に耳を傾け、相手の立場に立って考える力と、自分の過ちを率直に認め、改める、寛容な心を育てる必要があります。さらに、相手に対して敬愛する気持ちや感謝する気持ちを具体的に示すなど、時と場に応じたあいさつ、相手を思う言葉づかいや心のこもった接し方ができるよう、礼儀や人とかかわる力を育てていかなければなりません。

3)自らを律することができるよう育成する
規律や約束を守り、他人への思いやりをもって行動するには、自己の欲望を抑えなければならない場面がしばしば生じます。自らの意志で、自分を抑制しつつ行動できるよう、子どもを育成していく必要があります。
自分自身を大切にしつつも時と場合に応じて我慢をし、かつ、目標を見失わずに粘り強く物事をやり遂げることによって、自らを律することの大切さと達成の喜びを感じることができるようになります。そのためには、規則正しい生活や身の回りの整理整頓をすることなど、基本的な生活習慣を身につけさせることから始める必要があります。

4)責任感、正義感をもつよう育成する
自分のことは自分で決定すること、社会や集団の活動に参画し、他人に対して自分の意見や権利を主張することは、自立した個人として重要なことです。しかしながら、自己決定や権利の主張にあたっては、同時に社会的責任と義務が伴うものです。自分に与えられた役割をきちんと果たし、自分の行為に責任をとるとき、人は大切な存在として尊ばれることを教えていきます。
そして、常に公平公正に対応しようとする態度、善悪の判断がしっかりでき、人として許されないことにはノーといえる強い意志を育てていくことが大切です。

5)人々や社会のために役立つことに喜びを見いだすよう育成する
基本的なルールを守り、思いやりをもって、自らを律しながら責任ある行動がとれる人間となることは、他人から信頼され、社会や集団の中での自分の居場所を確保することにつながっていきます。さらに望まれることは、人々や社会のために役立つことを自ら積極的に行い、このことに誇りと喜びを見いだすことができる人間です。また、他の人々と協力して、あるいは、様々な人々とのかかわりを通して何かをやり遂げることは、社会を豊かにするとともに、自分自身の充実感を高めることにもつながっていくものです。そのために、地域社会での奉仕活動やボランティア活動などを通して、人々や社会のために働くことの大切さと喜びを体得させていきます。

(2) 「心の東京革命」に取り組む4つの原則
次代を担う子どもたちが、様々な問題状況を克服し、責任や義務をきちんと果たし、社会の一員としての役割を積極的に担えるよう成長することは、全ての人々の願いです。子どもは、それ自身の中に無限の可能性をもって生まれてきます。しかし、自分自身では、その可能性の花を開くことはできません。大人が守り、愛情を注ぎながら、育み、教育していくことによって、その人格が形成されるものです。
このことを踏まえた上で、「心の東京革命」として、子どもたちに社会の基本的ルールを身につけさせていくための4つの原則を、ここに提起します。

1)親と大人が責任を持つ
子どもに社会性を身につけさせていくことは、親と大人の責任です。子どもは大人を映す鏡であり、良くも悪くも、大人は子どもの鑑(手本)です。親も大人も、その行動が子どもに大きな影響を与えることを自覚し、良き手本となるよう努めるとともに、家庭、学校、地域における教育に責任をもって取組む必要があります。

2)社会全体で取り組んでいく
子どもを健全に育成していくためには、単に親や大人が責任を持つだけでは不十分です。子どもを「社会の子」と捉え、子どもに影響力のあるマスコミや企業も含め、広く社会全体として取り組み、子どもが健全に育っていく環境を整えていく必要があります。

3)幼児期からのしつけを重視する
幼児期からのしつけは、人が社会に出て、その属する集団と良好な関係をつくり、相互に成長・発展していくために非常に大切です。
親は、責任をもって、子どもに基本的な生活習慣を身につけさせ、人とかかわる力の基礎を育む必要があります。

☆先人は語る☆
 「『躾』とは、いまいう家庭教育の意味だが、それも『教訓』ではなく、家庭における正しい生活
の実体を子どもたちの身につけることである。それはほとんど言葉による教訓をともなわない、生活
の『形』そのものによる『しつけ』である。文字通り『身体の美』で、家の日常生活の『行動』で子
どもたちが自分の目で見て、それを自ずと身につけるように育てることである。」
    長谷川如是閑「日常性の中の日本」から

4)多くの体験・経験を重ねさせていく
集団の基本的ルールを身につけさせるには、何よりも体験をさせることが効果的です。子どもたちは、色々な体験・経験を積み重ねることにより、さまざまな知識やノウハウ、あるいは他人とかかわる喜びと厳しさを会得していくものです。小学生から高校生に至るまで、それぞれの発達段階にふさわしい体験・経験の場を与える必要があります。

3 「心の東京革命」の具体的展開
子どもにどのような「心」を育んでいくのか、「社会の基本的ルール」とは何か、しつけをどのように行うのかなどの問題は、それぞれ個人の価値観の世界に踏み込みかねないだけに、十分な議論が必要です。しかし、今日の子どもたちがおかれている状況は危機的であり、東京都としても緊急に対応しなければいけません。
そのため、東京都は前述した4つの原則を踏まえ、子どもの生活の場である家庭、学校、地域、そして社会全体がその教育機能を発揮させ「心の東京革命」を進めていけるよう、施策を展開していきます。
以下に施策展開の基本的考え方と具体的な施策例を掲げます。

1)家庭のしつけ・教育力の強化
家庭は子どもの基本的な生活の場、人格形成の場であり、基本的なしつけと善悪等の判断力を養う責任は、まず家庭にあります。
母親、父親がなすべきことを理解し、自信をもって子どもたちと向き合っていくためには、「親役割」を考え、学び、家庭の教育力を高めていくことが必要です。
家庭教育について共通の方針を持ち、夫婦が協力し話し合いながら子育てをすること、家庭のルールをつくって子どもにも家事を担わせ、責任感や自立心を養っていくこと、家族が揃って食事をとる機会を確保し親子のコミュニケーションを豊かにすること、学校や教師に対する感情的な批判を子どもの目の前でしないことなど、親としての心得について意識啓発を行っていきます。
とりわけ、感覚的に秩序感覚が身につきやすい幼児期におけるしつけを、家庭の教育力を発揮する第一歩と位置づけ、特に幼児期の子どもに最も大きな影響力をもつ母親に対する意識啓発を重点的に行います。さらに、幼児教育に関係する保育園・幼稚園などでも、しつけや子育てについて積極的な取組を行うよう働きかけます。また、ともすれば家庭で影の薄い父親に対しても、子どもに対するしつけや家庭教育における役割について啓発していきます。

☆先人から一言☆
 「一家の習慣は学校なり、父母は習慣の教師なり」「而してこの習慣の学校は教育の学校よりもさ
らに有効にして、実効を奏する」
    福沢諭吉「教育論」から

◇ちょっとデータ◇
 ”子どもの健全育成のために、家庭では何が大切か”
  第一位 「親と子どもが積極的に会話し、ふれあう機会を多く持つ」39.7%
  第二位 「親が手本となるような生活態度を示す」38.8%
  第三位 「生命の尊さ・お金や物の大切さを教える」32.7%
     (平成11年「都民生活に関する世論調査」)

【親に対する啓発教育】
◎「母親教室」等
・テレビによる「育児・しつけ教室」
MXテレビなどを活用して、育児やしつけに関する特集番組やスポット番組(「しつけワンポイント・アドバイス」)等を制作し、放送する。
・「講習講座等の教材提供」
育児・しつけに関するテレビ番組等をビデオ化して、区市町村や地域団体が母親教室等を積極的に実施できるよう教材として提供するととも に、乳幼児健診実施機関や子育て支援機関で活用する。
・「母親学級」等を活用した妊娠中における指導
区市町村が実施する「母親学級」や「両親学級」の場において、各種媒体を通じ、親となる心構えを指導する。
・「子育てアドバイザー紹介事業」
区市町村や各種団体が行う子育ての講習や講座に、都や民間の専門家を「子育てアドバイザー」として紹介・あっ旋する。
・「親子教室事業」
幼児期の成長やしつけに関し、親子が一緒に経験的・専門的な指導・助言を受けられるような機会を、区市町村等と連携して提供していく。

◎家庭教育啓発資料等の発行・配布
・「子育てマニュアル」の作成
幼児期からのしつけを自信をもってできるよう、具体的で分かりやすい「子育てマニュアル」を作成し、発行する。
 ・「父親ハンドブック」の作成
父親になる男性が、積極的に子育てにかかわり、心豊かな子どもを育てることができるよう「父親ハンドブック」を作成し、発行する。
・「子育て心理テスト」(仮称)の作成
親が自分の性格を知って、安心して育児にかかわれるよう「子育て心理テスト」(仮称)を作成し、順次、区市町村などの関係機関へ配布する。

【子育ての情報提供、相談システムの整備充実】
◎「子育て情報提供事業」
乳幼児健診時等などの機会に、しつけ・育児や子育てを楽しくするノウハウなどの情報を提供する。

◎「子育て支援情報データベース」の構築
福祉局のホームページに、地域の保育所情報や子育て支援機関のイラストマップを入れた、「子育て支援情報データベース」を構築する。

◎相談機関の連携事業「親子の一斉電話相談」
生活文化、福祉、衛生の各局や教育庁・警視庁の相談部門が合同して一斉電話相談を行い、それぞれの専門を生かして、しつけや子育てに悩む親や大人、子どもからの相談に応える。

◎地域の子育て相談支援
・「子ども家庭支援センター」の設置推進
地域の子どもと家庭に関する総合相談、在宅サービスの提供と調整、子育てグループやボランティアなどの組織化等の事業を行う「子ども家庭支援センター」の設置を推進する。
・「子育てひろば事業」の推進
保育所、児童館の機能を活用して子育て相談や子育て啓発を行う「子育てひろば事業」を推進する。

2)学校における心の教育の充実
学校は、子どもの成長・発達や人格形成に重要な役割を果たしています。最近の子どもたちは、生活を営む上での「基本的ルール」を守れないばかりか、自然や人とのふれあいから主体的に学ぶこと、本物に接して学ぶ機会が不足しており、物事を知識としてしか理解していない面があります。子どもたちに実体験を通して社会や人との関わりを体得させ、あわせて社会に役立ち貢献することと感謝されることの喜びを感得させる必要があります。学校は、創意工夫して、子ども一人ひとりに豊かな社会性を育む教育を推進する必要があります。
そのため、学校では、教師の資質の向上を図るとともに「心の教育」を行うなど道徳教育を充実していきます。
また、地域の人々の協力も得て、自然体験、ボランティア活動などの社会体験、ものづくりや生産活動等の体験学習を推進していきます。
保護者をはじめとする地域の人材を積極的に活用し、学校を地域に開放するなどして人とのかかわりを深め、地域の人々と共に子どもを育む教育を推進します。
さらに、子どもや親が直面する様々な悩み、不安などの相談にも適切に対応し、子どもの健全育成に対する家庭や地域社会の期待に応えていきます。

【心の教育の推進】
◎道徳教育の徹底
基本的なしつけや人としてしてはいけないことの判断などを、家庭と連携しつつ繰り返し指導し、「心の教育」として道徳教育の徹底を図っていく。

◎「道徳授業公開講座」
都内全公立小・中学校で都民(保護者や地域住民)が授業を参観し、心の教育についてともに話し合う「道徳授業公開講座」を展開する。

◎教員の資質・能力向上
「心の教育」などを推進するため、教員研修を充実し、教員の意識改革と指導力の向上を図る。

【体験学習活動の推進】
◎体験活動等の実施「トライ&チャレンジふれあいキャンペーン」
豊かな人間関係を育てあうことをねらいとして「トライ&チャレンジふれあい月間」を設け、都内の小・中学生を中心に、職場体験や奉仕活動、地域活動などの様々な体験活動を行う。また、そのなかから学んだことについての体験発表会や、教育・スポーツ・経済などの各分野のシンポジストを招いたシンポジウムなどを行う。

◎「体験的学習の実践メニュー」の作成・配布
体験的な学習の実践メニューを作成し、都内公立小・中学校及び都立学校へ配布することにより、「総合的な学習の時間」や特別活動において、ボランティア活動や生産活動、職場体験などの体験的な学習を実施するよう支援していく。

◎体験学習の場としての都庁職場活用
東京都庁の職場(福祉施設や病院等)を、体験的学習の教材、場として活用し、社会や公共への関心を喚起する。

【保護者や地域住民の学校運営への参画】
◎「学校運営連絡協議会」の設置拡大
学校が保護者や地域住民の意見を取り入れ、学校運営や教育活動に反映させていく「学校運営連絡協議会」を設置していく。

3)地域における教育力の強化
地域社会は、家庭や学校等も含んだ、子どもの主要な生活圏であり、遊びや地域の様々な人々とのふれあいを通じて社会性を身につける重要な場です。
子ども達の行動範囲が従来の地域観念を越えて広がっているなかでは、隣近所だけでなく、児童館や図書館等の公共施設、スポーツセンターやゲームセンター、さらにはコンビニなども含んだ「大きな地域」を子ども達の居場所と考え、こうした地域が、社会の子として子どもを育てる環境を再構築していくことが必要です。
見ず知らずの他人の子であっても、悪いことは叱り、良いことは誉める雰囲気をつくります。異年齢の子どもや他の親子、お年寄りとふれあう場や機会を創出したり、子育てに悩む母親達が気軽に話し合ったり相談できる機会や場もつくります。さらには、自然体験や伝統行事への参加などの様々な体験の機会を提供します。
親や大人自らが地域や学校など社会に目を向け、社会の一員としてコミュニティ活動やボランティア活動など社会活動に参加したり、地域が学校運営に参加できるようなしくみをつくっていきます。
また、地域において高齢者の子育てノウハウを活用したり、子どもの健全な育成を支援する人材の育成やネットワークづくりなどへの支援を行っていくなど、地域の教育力を復権させていきます。

◇ちょっとデータ◇
 ”地域での子育てのための活動に参加しますか”
  地域での子育てのための活動
   この1年間で参加したものなし 60.2%
   今後参加するつもりなし    39.8%
  親子がともに参加できる活動やプログラム
   「この1年間で参加した」   30.0%
   「今後参加したいと思う」   45.2%
     (平成9年「東京都社会福祉基礎調査」)

【地域における体験とふれあい】
◎「とうきょう親子ふれあいキャンペーン」
東京都の美術館、博物館、体育館等で「とうきょう親子ふれあいキャンペーン」を展開し、地域の親子体験活動や豊かなコミュニケーションを図るふれあい活動を行う。

◎「親子ふれあい教室」
地域の親子が一緒になって調理実習等の体験活動を行う「親子ふれあい教室」を、学校等の施設を活用して実施する。

◎「親子で自然体験」
地域の親子がグループで、メダカ等の飼育体験やハイキング等の野外活動を行ったり、また、山のふるさと村や都民の森(体験の森)施設などを活用し、親子でスターウォッチング、木工、炭焼き、しいたけ栽培や山登りなどの体験を行う機会を提供する。これらの自然体験を通じて、親子のふれあいとともに、生命を尊ぶ心や責任感、自立心を培っていく。

◎「伝統文化の継承事業」
子どもが、生まれた地域や郷土に誇りと愛着を持つことができるよう、地域の文化財を巡る「文化財クイズラリー」を実施するなど、日本の文化と伝統を子どもたちに伝えていく。

◎「芸術鑑賞教室」
「大人と子どものギャラリーツアー」や「ファミリーコンサート」などにより、絵画や音楽などに直接ふれる機会をもたせる。

【地域活動やネットワーク化への支援】
◎地域の子育て交流支援
・「子ども家庭支援センター」の設置推進(再掲)
地域の子どもと家庭に関する総合相談、在宅サービスの提供と調整、子育てグループやボランティアなどの組織化等の事業を行う「子ども家庭支援センター」の整備を推進する。
・子育てグループ支援「子育てひろば事業」の推進(再掲)
保育所、児童館において、子育てグループの活動場所を提供し、育児やしつけ相談・啓発活動等子育て家庭や子育てグループへの支援を行う「子育てひろば事業」を推進する。

◎地域の青少年活動の支援事業
・「ユースワーカー」の活用
地域の青少年施設において青少年活動の支援を行うユースワーカーを養成し、その活用を図る。
・「青少年社会参加活動等推進事業」
地区委員会等の地域青少年育成団体等による青少年の社会活動等を推進するため、区市町村を支援する。また、各団体が地域における青少年活動体験を報告し、相互に交流できる場を提供する。

【地域と学校との連携強化】
◎「学校運営連絡協議会」の設置拡大(再掲)
保護者や地域住民が学校運営に参画する「学校運営連絡協議会」の設置を拡大し、地域が学校を支えていく活動を推進していく。

 4)大人の意識啓発と社会環境の改善
「心の東京革命」を効果的に推進していくためには、大人たち一人ひとりが、自らが身を置く社会とのかかわり方、自分の生き方を見つめ直し、社会の構成員としての役割と責任を積極的に果たしていく必要があります。私たち大人は、自己中心主義を改め、積極的に社会へ参画するとともに、社会の基本的なルールや規範意識を子ども達に伝え、親も子どもも共に成長していく新たな「親育ち・子育ち文化」を創造するよう努めなればなりません。
そこで社会全体が子どものしつけや健全育成のための環境づくりに取り組めるよう、「心の東京ルール」をつくって呼びかけるなど、意識啓発や条件整備を行っていきます。
企業や事業者に対しても、協調した行動を呼びかけるとともに、性や暴力などの行き過ぎた描写や有害情報など、一部の営利至上主義に立った企業やマスコミ行動の自粛を求めるよう世論を喚起し、対策を検討していきます。

◇ちょっとデータ◇
 ”子どもの健全育成のために社会に求められていることは何か”
  第一位 「社会全体がモラルを高める」37.1%
  第二位 「社会全体が心の豊かさや思いやりの心を持つ」32.4%
  第三位 「子どもに悪影響を与えると思われる雑誌の出版や番組の制作などを自粛する」
      29.0%
     (平成11年「都民生活に関する世論調査」)

【心の東京革命キャンペーンの展開】
◎標語を用いた運動の展開「“心の東京ルール”の作成」
心の東京革命の浸透を図るため、おはよう、ありがとう、すみませんなど「毎日きちんと挨拶させよう」とか「他人の子も叱ろう」といったキャッチコピー(心の東京ルール)などを作成し周知する。
(心の東京ルール案)
心の東京革命 − 7つの呼びかけ
○毎日きちんとあいさつさせよう
○他人の子どもも叱ろう
○子どもに手伝いをさせよう
○ねだる子どもにがまんをさせよう
○先人や目上の人を敬う心を育てよう
○体験の中で子どもをきたえよう
○子どもにその日のことを報告させよう

◎「“心の東京革命”ロゴマーク」の作成
「心の東京革命」の運動が、全ての都民の理解と協賛のもとで実施できるようロゴマークを作成し、様々な広報媒体に掲示して普及啓発を行う。

◎広報媒体を活用した推進キャンペーン
機関誌の発行や既存の広報媒体を使って、全庁的にキャンペーンを展開する。また、都バスや各局事業資料などに、「心の東京革命」のロゴやキャッチコピーを活用する。

◎シンポジウム等の連続的実施
「社会的ムーブメント」を巻き起こすきっかけとして、家庭教育や親子関係、青少年の健全育成などをテーマとしたシンポジウム、フォーラム、講演会等を連続的・全庁的に行う。

【地域や企業、民間団体との協調】
◎「地域ぐるみの取組」の推進
育児やしつけ、心豊かな子どもを育てることをねらいとしたポスター、ちらし、標語等の作成や区市町村や近隣県と合同した街頭啓発活動などにより、「心の東京革命」に関する地域ぐるみでの取組を推進する。

◎民間団体や企業との連携
民間団体や企業と協同してシンポジウム等を開催し、「心の東京革命」への理解と協調した行動を求めていく。

《推進体制の整備》
以上の取組を効果あるものとするため、東京都は「心の東京革命」を、全都的かつ継続的に推進する体制を整備する必要があります。そのため、この運動を進める「心の東京革命推進会議(仮称)」及びその事務局となる専管組織を庁内に発足させます。また、各部局においても区市町村等と十分な連携を図り、有機的な運動として展開していきます。

・「“心の東京革命”の取組方針・行動案」の取りまとめ
  都民や関係者等の意見を踏まえ、平成12年(2000)年6月を目途に今後の取組方針及び行動案を策定する。
・「心の東京革命推進会議(仮称)」の設置
区市町村や関係者団体の参加を得て、「心の東京革命」を進めるための「心の東京革命推進会議(仮称)」を設置する。
・「心の東京革命推進室(仮称)」の設置
庁内に「心の東京革命」を進めるための事務局を設置し、「心の東京革命推進会議(仮称)」の運営や広報活動、進行管理等を行う。
・「都のホームページ等活用のアイデア募集」
「心の東京革命」取組方向(素案)をもとに、「広報東京都」や東京都のホームページ等で都民
 からの意見やアイデアを募集する。
・「しつけの方法等のあり方研究会」の設置
  幼児期を始めとする発達段階に応じた子どもの育成・しつけ・教育の方法、及びその施策化等のあり方について、総合的に研究する会を発足させる。

                      資  料  編

[資料 1]
「心の東京革命」の施策体系像

1 家庭のしつけ・教育力の強化
1) 親に対する講習講座・啓発
○母親教室等(講座)の実施及び支援
・育児やしつけに関するテレビ番組の制作
・講習講座用等のビデオ教材作成と区市町村や関係機関等への提供
・母親学級等を活用した妊娠中における指導
・講師等の人材(都や民間の専門家等)紹介・あっ旋
・親子教室事業
・「親と子どものコミュニケーション」等シンポジウムの実施
○家庭教育啓発資料の発行・配布
・子育てマニュアルの作成・配布
・父親ハンドブックの作成・配布
・子育て心理テストの作成・配布
・子育て事例集等の作成・発行
・青少年の性に関するガイドブック等(青少年用及び保護者用)の発行

2) 子育ての情報提供体制の整備
○乳幼児健診時等におけるしつけ・育児情報の提供事業
○子育て支援情報データベースの構築(インターネット)

3)しつけ、育成に関する相談の充実・支援
○親子の一斉電話相談の実施
○子ども家庭支援センターの設置推進
○子育て広場事業の推進
○児童相談所、教育相談所、青少年センター、保健所等における相談の充実

2 学校における心の教育の充実
1)心の教育の推進
○道徳教育の徹底
○道徳授業公開講座の実施促進
○教員の資質・能力向上(教員研修の充実)

2)体験学習活動の推進
○「トライ&チャレンジふれあいキャンペーン」の展開
・ボランティア活動や職場体験等の体験学習の実施
・体験発表会の実施
・シンポジウムの実施
○特別活動等の充実(体験的学習の実施メニュー作成・配布)
○都の施設・事業現場を体験学習の場として積極的に提供

3)学校運営への地域参加
○学校運営連絡協議会の設置拡大

3 地域における教育力の強化・地域活動の促進
1)地域における体験とふれあい
○「とうきょう親子ふれあいキャンペーン」
○公開講座の実施
・公開講座「親子ふれあい教室」
・公開講座「親子スイミング」
○親子での自然体験の機会充実
○文化と伝統を理解し継承する事業
○「芸術鑑賞教室」
○図書館活用講座
○施設等の地域開放

2)地域活動やネットワーク化への支援
○地域の子育て交流支援
・子ども家庭支援センターの設置推進(再掲)
・子育てひろば事業の推進(再掲)
○地域の青少年活動の支援
・青少年社会参加活動等推進事業
・ユースワーカーの活用
・児童・生徒、青少年のボランティア活動推進事業
○子どもの成長を支える人材の養成・活用
・子どもの健全育成活動リーダー育成のための講座の充実
・スクールカウンセラー、児童委員・主任児童委員等の研修実施
・アドバイザリースタッフ派遣事業、メンタルフレンド派遣事業の充実
・様々な子育てや社会経験、ノウハウをもった地域の高齢者等の活用
・区市町村や地域団体への講師紹介・あっ旋(再掲)

3)地域と学校との連携強化
○学校運営連絡協議会の設置拡大(再掲)

4 大人の意識啓発と社会環境の改善
1)「心の東京革命」キャンペーン
○キャッチ・コピー(心の東京ルール)の作成
○心の東京革命ロゴマークの作成
○広報媒体を活用したキャンペーンの実施
○ シンポジウム等の連続的実施
・「児童環境づくりシンポジウム」
・「青少年健全育成のためのトークセッション」
・「未来をつくる親と子のふれあいフェア」
・「家庭教育についての国際シンポジウム」
○テレビ・ラジオ番組の制作

2)地域や企業、民間団体との協調
○地域ぐるみの取組の推進
・ポスター、ちらし等の作成
・街頭啓発活動の実施
・非行防止対策(環境浄化等)の推進
○民間団体や企業との連携
・私立幼稚園団体との連携(「子育てお母さん大集合」)
・企業・経営者団体との連携(「子育てシンポジウム」)
・民間団体の行う取組の後援

5 推進体制の整備
○「心の東京革命」取組方針及び行動案の作成
○「心の東京革命推進会議(仮称)」の設置運営
○「心の東京革命推進室(仮称)」の設置
○都のホームページ等を活用した意見等募集
○子どもの発達段階に応じたしつけ等のあり方研究会の設置
○他の関連組織との連携
・庁内関連組織との連携
(青少年健全育成推進本部、児童環境づくり連絡会議等)
・他の協議会等との連携
(青少年問題協議会、児童環境づくり推進協議会、健全育成推進協議会、社会教育団体連絡会議、思春期相談担当者連絡会議、青少年懇談会PTA連合会等)
○NPO団体、関係行政機関、その他の関係者のネットワーク化の推進
○国・他県・区市町村との連携