総合的な学習
前述のカリキュラムの型に応じて総合的な学習にも、いろいろの型が考えられるが、一般的な長所としては、子どもの自発的学習を促し、主体的創造的な思考力、問題解決力を育成し、実践的な生活力を身につけさせるといった点が指摘され、短所としては、教師が問題を探すのに骨が折れ、指導計画を立てるのに労力と時間を要する、作業が多くなり、指導に時間がかかる、子どもの興味や自由な活動を尊重するあまり、場当たり的な学習となる、系統的な知識、技能が習得されにくい、などといった点が指摘されている。
したがって、総合的な学習を効果的に行うためには、次の点に配慮することが必要である。
(1)子どもの発達
総合的な学習の効果は、思考力の発達によって異なる。従来の研究によると、推理力を中心とする思考力は、8歳以前、9〜10歳、11〜12歳以後という3つの段階を経て発達するといわれている。すなわち、8歳までには、大小、時間、空間関係などの簡単な推理が直観的にできるようになり9〜10歳では、かなり進んだ概念的関係が意識的にとらえられるようになり、抽象作用もある程度発達する。しかし、言語的理解や表現に困難がある。11〜12歳以後になると、純粋に論理的関係、抽象的関係を意識的にとらえはじめ、言語的理解や表現もでき、簡単な形式的推理ができるようになる。つまり、幼児期、児童期前半までは、具体的思考、自己中心的思考であるが、児童期の後半からは、次第に概念的思考、抽象的論理的思考へと変化しはじめ、青年期には、さらにこの傾向が強められる。
したがって、直接経験や活動を重視する総合的な学習は、小学校低学年には適するが、高学年になると、常に効果的とはいえない。
(2)学習目標
指導法の効果は学習目標によって異なる。例えば、ガニエ(1974年)は、学習される知的技能は、低次のものから高次のものへと階層をなしており、関連する低次の技能を完全に習得することによって高次の技能の習得が可能になるという学習階層モデルを提唱している。すなわち、単語の発音、記号や事物の名称のような低次の学習から弁別、概念、法則の学習を経て、高次の問題解決の学習に達するという。この立場に立てば、基礎的な技能の学習は系統的な学習法が効果的であり、初めから総合的な学習を用いても必ずしも効果的ではない。
(3)課題分析
総合的な学習を用いる場合にも、まず、単元の終わりに達成すべき目標を具体的に定義することが必要であり、次にその最終目標を達成するのに必要な下位目標を見分け、さらに、その下位目標を達成するにはどんな下位目標が必要かを見分けることが必要である。以下、同じ手続きにより、最終目標に達するのに必要なすべての能力、技能について分析し、適切な順序で階層に示すことが必要である。この手続きは課題分析といわれる。このように最終目標に到達する順序も考えないで、子どもの直接経験や自発的活動に訴えるだけでは、場当たり的な学習になり、期待する力は習得されないであろう。
(4)自己制御学習
学習者中心の学習指導においては、学習者が学習目標を達成するため、認知と行動を自ら活性化し、維持することが必要である。この学習過程は、自己制御学習といわれ、自ら目標を設定し、自分の行動を監視し、その結果を自己評価し、自ら賞罰を与える自己強化の過程が重視される。しかも、この学習を促進するためには、学習者が(ア)課題の要求、(イ)本人の特性、(ウ)効果的な学習方略について正しく理解することが必要である。