情報技術の活用

1999/5/28

企業の持つ知識やノウハウといった知的資産を有効利用する「ナレッジマネジメント」。このナレッジマネジメントの実現に欠かせないのが、情報技術(l)の活用だ。グループウェア、データウェブハウス(データ倉庫),モバイルコンピュ一ティング、CT(コンピューターテレホニー・インテグレーション)SFA奮業支援情報システム)などといった情報技術とナレッジマネジメソトのかかわりについて考えてみる。

 

知識は競争力の源泉

ここ数年のオフィスにおけるパソコンの導入とインターネットの普及には目覚ましいものがある。こうした情報環境の整備が進むにつれ、仕事や業務にかかわりのある情報は次々とデジタル化され、ネツトワーク経由で流通、蓄積、共有できるようになった。こうして普積された膨大な情報は果たして仕事に生かされているめだろうか。例えば顧客からの苦情や問い合わせは、それを整理、分析できれば、製品開発やサーピ承繭土めた蒙惚貴重態報へと生まれ変わる。情報は企業競争力の源泉であり、そこかち導き出される知識はピジネスの重要な差別要因となる。

そこで企業の内外に散在する様々な情報やノウハウから知識を導きだし組織全体で共有、活用できる仕組みが求められている。これを「ナレッジマネジメントシステム」と呼ぶ。

ナレッジマネジメントシステムの構築にITの活用は欠かせない。デジタル化された大量の情報を蓄積、整理できる大規模なデータベースシステム。社内外から情報を集めたり、提供するためのネットワーク技術。情報の山から仕事に役立つ知識を抽出するアプリケーションなどだ。これら高度に発達したITとインターネットの登場で、ナレッジマネジメントを実現するシステムの構築が可能になったといっても過言ではない。

欧米ではすでにこうしたITの活用によって、知識を企業競争力の源泉にするナレッジマネジメントを実践している先進的な企業がたくさん現れている。

 

4つの要素をおさえる

ナレッジマネジメントとITのかかわりを考える上で、一つ注意しなければいけないことがある。それは「ナレッジマネジメントは経営のテーマであり、情報技術イコールナレッジマネジメントではない」(大浦勇三大浦総合研究所代表)ということだ。意思決定支援システムが意思決定しないのと同じで、経営者が事業の目的や経営戦略の方向性などをきちっと定めていなければ、いくらITを駆使したところでビジネスに役立つ知識は生まれない。あくまでもITは知識を活用するためのツールであり、ビジネスに乗数効果を生み出すための手段であることを忘れてはならない。

ではナレッジマネジメントを成功に導くシステムに必撃な要素とは何か。ロ一タスの神戸和文コンサルティング部部長はそのボイントを四つ挙げる。

@情報を積極的に提供させる仕組みであること

A過去から学べること

B常に良質な情報であること

C業務や仕事に役立つ情報であること

だ。これらのポイントを押さえながら、ナレッジマネジメントシステムを作っていくことが大切になる。

 

グループウェア活用

それではナレッジマネジメントシステムに必要なITを個別に見ていこう。

ナレッジマネジメントシステムで最も重要なのが、情報を収集、共有、提供する協働作業の場、プラットホームである。いま、そのプラットホーム役として注目を浴びているのが、「グループウエア」だ。グループウエアは、当初企業内のコミュニケーションツールや情報共有、ワークフロー実現の手段として導入が進められてきた。その後、生産や会計、販売管理といった基幹業務系システムとの連携や、ウェブなどのインターネット技術の融合が進み、社内だけにとどまらず、あらゆるビジネス活動のアプリケーション基盤へと、その適用範囲を広げている。

もともとグループウェアは知識やノウハウといった非定.型な情報を蓄積する機能に優れている。また営業支援システムとの連携機能や、キーワードや属性情報をベースにした検索機能を備えた製品も登場している。こうした背景かち、グループウェアをナレッジマネジメントシステムのプラットホームとして活用する動きが盛んとなっている。

膨大な情報から仕事に有効な知識を創造するナレッジマネジメントシステム。そこには膨大な情報を蓄積し、必要な時にそれを自在に活用できる入れ物が必要となる。その入れ物の役割をになうのが、「データウェアハウス」だ。

本来データウェアハウスは社内にあるさまざまな情報やデータを、一カ所にまとめて蓄積し、経営戦略の策定や市場ニ-ズの把握などに役立てることを目的に導入が進んだ。しかし企業内での活用範囲が広がるにつれ、データウェアハウスに求められる機能も拡大している。

例えば、ITの活用によって、企業はこれまで得にくかった顧客の生の声といった情報まで得られるようになった。こうした顧客データベースと既存σ基幹業務系データベースの両方をデータウエアハウスに取り込み、そこから顧客二-ズに合った新しいビジネスモデルを抽出することが可能となった。情報やノウハウを仕事に役立てる知識へと変える仕組みに、データウェアハウスは大きな役割を果たしつつある。情報検索技術の進歩も著しい。膨大なデータの中から相関関係や隠れた法則を発見する「データマイニング」や、キーワードを含んだ文章だけではなくそれに関連した資料をコンピューターが自動的に検索する「あいまい文書検索」などデータ解析技術の研究開発も活発だ。既存知を参考にして新たなナレッジ創出を支援する際に威力を発揮しよう。

 

顧客ごとの「最適」追求

従来、よほど高価で付加価値の高い製品・サービスを鐸供する場合以外は、「この人は何歳で年収がいくらだからこの製品がふさわしい」といった顧客の属性をマスでとらえるマーケティング手法がとられてきた。しかし、近年のITと情報ネットワークの急速な発達によって、大量の個人一人ひとりのニーズを的確にとらえたワン・ツー・ワン・マーケティングが可能になってきた。最新の顧客情報を基に、既存の優良顧客と潜在需要が見込める人々を含めた多くの顔容一入ひとりに最適なサービ又を提供するCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)という考え方が注目されている。

従来の営業シーンでは、預客の潜在的需要や模糊(もこ)とした要望は、顧客といい関係を築いている営業担当者の胸の内に秘められ、個人ベースで活用されていた。しかし全員が、高いノウハウと、数値だけでは表現できない生きた情報を共有できれば、それを踏み台にして新たな価値を顧客に提供でき、また顧客とのいい関係が生まれ、組織としての業績も上がるという好循環を生み出す。

 

CTISFAの導入

こうしたことをITによって支援するCTI,SFA、モパイルコンピューティングなどのアプリケーションや要素技術を使った多彩な営業最前線向けシステムが多彩に登場している。まず、大手通販や金融機関などは、膨大な注文や問い合わせに対して顧客別にきめ細かく対応するためにCTI技術を使ったコールセンターを活用している。CTIは、電話とコンピューターを統合したシステムで、電話の交換機とコンピューターの間にCTIサーバーを介して、電話からの音声情報とコンピューターのデータペ-スなどとのリンクを図る。ファクス、インターネットなどあらゆる電子メディアに対応できるシステムも多い。

CTIの大量なメリットは、情報共有。コンピューターのデータベースにすでに履歴がインプットされている顧客ならだれが応対しても、それまでの交渉の経緯、し好などが分かるので効率的潅応対が宵能だ。

マンパワーによる営業をITによって支援するのがSFAだ。業種やベンダーによっ・て異なるが、基本的には中核に大槻模なデータベ-スがあり、ネットワークを経由して、営業最前線の端末に付加価値情報を提供したり、営業マン側かちグループウェアを使って営業先で得られた生の情報をフィードバックして情報を共有できる仕組みになっている。出先から携帯電話やPHSでシステムにアクセスできるモバイル対応しているものなら、得意先で、予期せぬ質問をされ、かつそれがノートパソコンにインプットされていなかった時や迅速な在庫確認をする場合でも対応できる。

業種・業態に合わせてこれらのアプリケーションや要素技術を巧みに組み合わせた最適なシステムを構築すれば、顧客から得られるナレッジを基に新たな価値を効率的に創造するためのエンジンとなることだろう。